スクールオブクイズ超問クイズ!ネプリーグクイズやさしいね正解の無いクイズ難読漢字クイズ番組メモアニメ漫画データシンデレラガールズらき☆すたコスプレギャラリーYouTube落語集鎌倉殿の13人

似ているようでちょっとだけ違う?
『らき☆すた』最終話と『ビューティフル・ドリーマー』

*作品のネタバレ有りの文章です。作品未見の方はご注意を。


 アニメ『らき☆すた』最終話(#24)のエンディング曲に、『愛はブーメラン』が使われたことから、この曲を主題歌としていたアニメ映画『うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー』が、最近にわかに注目されている。
 “にわかに”と表現したものの、『ビューティフル・ドリーマー』自体は(多少の私見を含めながらも)アニメ史に名を残す、昔からのアニメ好きには既知の名作である。『ビューティフル・ドリーマー』が公開されたのは1984年のこと。四半世紀近くも前の作品であるから、若い人が知らないのも無理無いことである。

 アニメ『らき☆すた』を制作したのは、言わずと知れた京都アニメーションである。この京アニのスタッフは、どうやら『ビューティフル・ドリーマー』の影響を大きく受けている感がある。『らき☆すた』の前にも、学園祭をテーマにした『涼宮ハルヒの憂鬱』#12「ライブアライブ」において、「純喫茶第三帝国」なる名称の出店をチラッと映し、観る側に『ビューティフル・ドリーマー』を連想させている。この「純喫茶第三帝国」とは『ビューティフル・ドリーマー』に出てくる出店の名前で、ハルヒでは看板のデザインも似せている。

 『らき☆すた』最終話と『ビューティフル・ドリーマー』の共通点として、“学園祭の前日”が挙げられる。いずれも「祭りは準備をするまでが楽しい」を表現しており、祭りが始まるまでのワクワク感を受け手に与えてくれる。
 『ビューティフル・ドリーマー』は、そのワクワクを終わらせないよう、ラムの望んだ夢の世界、都合のいい世界で、楽しく暮らすことができた。しかし諸星あたるはその世界を放棄し、不都合な現実を選択する。それによってループ構造から抜け出し、学園祭当日を迎える。一方『らき☆すた』最終話はどうだったか。学園祭前日にチアダンスの練習を完成させ、本番の準備は万全。その本番を直前にして、最終話は幕を閉じる。

 両方とも、学園祭が始まる直前までで話は終わるが、すぐ次に始まるであろう、本番のお祭りへ前進することを予感させる。しかし一点、異なっている。それは「ループ構造」に関連する。
 『ビューティフル・ドリーマー』のループ構造、およびループからの脱出は前述の通り。一方『らき☆すた』の作中には、特にループ構造と思える箇所はない。だが、もっと大きな視点で見ると、ループ構造が存在する。それは「本番のチアダンス」=「オープニング」である。つまり作品の終わりが始まりに繋がっている、というループ構造。前進したかのように見えて、実は戻ってしまっている。そして『らき☆すた』には諸星あたる役が不在。かくて『らき☆すた』ワールドは繰り返し、キャラ達は自身に都合の良い世界で楽しく暮らし続ける。
 「せやけどそれは夢や」と都合の良い夢の世界から脱却するのと、不都合な世界に目を背けて夢の中で生き続けること。そんな対比があるのかなぁと思った次第。

 なおこの論は、「ラストのチアダンスがオープニングにループしていることの暗喩である」という考え方のもとに成り立っている。なので、

1.
『ビューティフル・ドリーマー』 → 都合の良い夢の世界からの脱出
『らき☆すた』最終話 → 楽しい夢の世界で暮らし続けよう

2.
『ビューティフル・ドリーマー』 → ループ構造
『らき☆すた』最終話 → ループ無し

という形で、どちらに転んでも「ちょっとだけ違う」が成立する、ズルい構造になっている。

 ただ、『らき☆すた公式ガイドブック』におけるインタビュー記事によると、原作者の美水かがみ氏は「ループしたりせず進んでいこう」と、『らき☆すた』ワールドが万年高校生活であることを良しとしていないので、これはちょっと穿った見方かなぁ、とも思っていたりする。


[PR]

うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー
東宝ビデオ (2002/09/21)
売り上げランキング: 2809
おすすめ度の平均: 5.0
5 子供が理解できないアニメ
5 時間と夢
5 みんなカメに乗ったら


ホームページへ戻るファンサイトのトップへ戻る