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第6回法政オープン体験記

 この大会は1997年11月1日に、法政大学クイズリバティが主催したオープン大会です。

スタッフ
司会:山下淳・木伏崇
出題:青柳雄造・森本力
正誤判定:古谷顕一郎・深澤岳大
会計・音響:塚田俊一
総合:大岩絹英・小倉拓
記録・受付:長倉亜子・針ヶ谷千春
誘導:中西亮人・秋山裕紀・菊地美亜
道具:石井聡・岡部進悟
資料提供:長倉亜子


 前日、新井浩さんから電話があり、今日の法政オープンは何時に開始なのかと聞かれた。(大会当日、神山からも「当日の朝に開始時間を知った」と言われる。)「スタッフらはどういう宣伝活動を行ったんだ?」と不安に思いながらも飯田橋駅に到着。大学主催のオープンだけに、駅前では大学サークルごとにコロニーを形成していた。しばらくすると黒巣らが法政大学方面からやって来た。黒巣が「クイズワールド4号」の「ワールドカップ」の部分で自分の写真が載っているところを自慢し、「これ、お前な。オレが写ってたからオマケで載れたんだぞ」と、よく見ると黒巣のアップショットの横に私が写っていた。
 何やかや言っているうちに、会場に到着。参加者はまだ来ていないので、スタッフらが最後の打ち合わせっぽいことをしていた。今更先輩風を吹かせる気もなかったが、「あっ、舟太さん、おはようございます(orこんにちは)」と言われると、満更でもなかった。
 今回の予選は「ペーパー」と「早押し」の2つのコースがあることが事前に発表されていた。別に予選がコース別になっていることは目新しいことではなかったが、コースの通過人数が等価となってくると話が違ってくる。予選は本戦を戦える実力を持っているかを見るためのものである。ペーパーは実力を計るのにはうってつけの形式であるから、多くの大会に使われるのである。だが、早押しでそれを見極めることができるのかという疑問があった。自分はもう手出しできないとはいえ、後輩の行うことは若干心配である。この辺りはどんな悪ガキでも心配になる父親みたいなものなのだろうか。スケールがかなり違うだろうけれど。


1R:ペーパークイズコース(コース選択者→30人)

 私はペーパーコースを選択。参加者は合計135人で、ペーパーは55人、早押しは80人と、倍率の上ではペーパーが有利な方として傾いた。が、ペーパー参加者のメンバーを見る限り、油断はできなかった。
 ペーパークイズの難度は高めに感じた。どこかで聞いたことがあるような....という問題が多く、思い出せない問題がかなりあった。
 15分があっと言う間に過ぎた。法政オープンでは慣例的に法政リバティの現役&OBがペーパーの採点作業を行うことになっているので、私も採点作業をするために別室へ移動。ちなみにその間早押しコースの予選が行われていのだが、採点作業をしていた私は、早押しコースは9組目あたりからしか見られなかった。

 今回は解答用紙が55枚しかないため、1人当たりの採点枚数が少ない。私は5枚ほど引っこ抜いて採点を始めるが、最初の3枚はトビトビにしか○を付けられなかった。やっぱり難しかったよな〜、ウンウン、と一人納得していた。
 法政オープンは基本的に正誤判定が甘いが、ペーパークイズでは厳しい。ちなみに私は去年「ペレス・プラド」を「ペレス・“ブ”ラド」と濁音違いで大きな損をしていたので、今年は細心の注意を払っていたため、そういった類の減点は0。ただ、それを知らない人は、普段はこれでOKにしてもらっていたであろう解答で誤答判定をかなり出されており、名前は挙げられないが4点くらい損をした人もいた。やはり普段から自分に厳しくないと、こういう場面で痛い目を見るようである。そういうわけで、法政オープンの予選成績発表後の「2、3点自己採点より低い」という掛け合いはそこかしこで見られるのである。
 数度の採点チェックを経て、通過者30名が決定。トップは沼田で37点と、なかなかの成績。しかしその成績よりも目に付いたのは、沼田の「所属」であった。2位は井上こーぢで、弥生杯に次いで2度目のペーパー2位である。以下も予想以上に高い水準でまとまり、34点の私は10位で通過枠に入った。

1位沼田正樹37点
2位井上幸治36点
3位栗田修
4位西村陽
5位松石徹35点
6位能勢一幸
7位串戸尚志
8位神山学
9位大倉太郎34点
10位鈴木舟太
11位舛舘康隆
12位高山慎介33点
13位渡辺徹32点
14位大村哲也
15位新井浩
16位黒巣弘路31点
17位宮崎裕茂
18位日高大介
19位塚本丈二
20位山本剛30点
21位村上彰
22位鷹羽寛
23位西田司29点
24位宮澤大輔
25位西岡能範
26位宮崎和彦
27位森家盛28点
28位中村ひさし
29位神野芳治27点
30位佐々木繁樹
次点飯田暁24点

 成績が確定して、最初に驚いたのはボーダーライン27点。さすがに上位30人までとは言え、この難易度で27までボーダーが上がるとは予想だにしなかった。もっとも、プレイヤーのレベルが上がったことの表れなのかも知れないが。


1R:早押しクイズコース(コース選択者→30人)

 ペーパークイズの結果を見て驚いている私を横に、進行状況を伝えに来るスタッフの様子からしか予選の早押しコースはわからず。ただ一点、順調に進んでいるということだけがわかった。
 ペーパーの成績が確定したので、会場となっている教室に再び戻ると、もうすでに9組目が始まっていた。オープン開始前はかなり不安だったが、実際に見てみると、その心配は杞憂だったことを教えられる。問題が(予選にしては)えらく難しいのである。私はとてもではないが着いて行け無さそうなクイズをガンガン正解して勝者が決まっていき、第9組はわずか7問で決着。さらに第10組も7問で決着。どうやら実力差が如実に計れる問題を用意していたようで、後輩の成長ぶりを見ることができた。

1抜け2抜け3抜け
 1組目矢野淳一岡村悟史武笠龍彦
 2組目松本裕輔市川尚志待木祐紀
 3組目後藤宗範北形綾一多田光伸
 4組目小野大佐矢野了平外祥昭
 5組目若林一也菊池かおり堀滋
 6組目奈良間貴洋鈴木亮小池直樹
 7組目沼屋暁夫小林究西村友孝
 8組目藤波涼板垣英夫吉屋大樹
 9組目安部和洋丸山淳光山聡
10組目斉藤英司松尾浩永井智子

 どんな大会でも意外な予選落ちプレイヤーがいることを考えると、今回は常連組が足を揃えて予選を通過した感じであった。ただ、早押しを全部見てはいないので単純には言いきれないが、ペーパーの方が人数が少ない割に、オープン上位組が顔を揃えたため、厳しい勝負を強いられていた感じであった。

 早押しコースの予定が全て消化したので、まだペーパーの結果を知らない会場の人達に伝えることに。私はすでにペーパー1位を知っていたが、一体どういうことになるのかが楽しみであった。
 司会の山下がペーパーの結果を受け取り、いよいよペーパー1位の発表。

山下「ペーパー1位は37点、所属、茅ヶ崎市役所....」

結果を知らない皆がRyuさんを注目する。だが、

山下「茅ヶ崎市役所....沼田正樹さん」

それと同時に場内爆笑の渦。沼田が席を立ってガッツポーズを取っていると、後ろからRyuさんが体当たりを仕掛けていた。

 ちなみに、2Rのコース選択は、予選を抜けたコースによって異なり、


2R[1]:ジャンケン3択クイズ(20人→10人)

挑戦者
ペーパー 2位:井上幸治
ペーパー 6位:能勢一幸
ペーパー 8位:神山学
ペーパー13位:渡辺徹
ペーパー16位:黒巣弘路
ペーパー21位:村上彰
ペーパー23位:西田司
ペーパー24位:宮澤大輔
ペーパー25位:西岡能範
ペーパー26位:宮崎和彦
早押し1組3位:武笠龍彦
早押し2組2位:市川尚志
早押し3組2位:北形綾一
早押し4組2位:矢野了平
早押し5組2位:菊池かおり
早押し6組1位:奈良間貴洋
早押し7組2位:小林究
早押し8組1位:藤波涼
早押し9組1位:安部和洋
早押し10組2位:松尾浩
 どちらの予選コースを抜けた人にも共通して言えたことだが、2Rの選択希望は「一問多答>ジャンケン>ボード」という人気度であった。早押しコースでは1位の人が一問多答を選んで、残ったボードとジャンケンのうちこっちを選んだという人が半数を占めている。
 3択クイズは、実力があれば確実に勝てるが、運だけでも十分に勝てるクイズ問題形式である。そしてさらにこの形式では、間違えた選択肢を挙げても、2分の1で1点が入るという、運の要素一杯の形式である。とは言え、選択肢を2択に絞れるといった状況になると、ある程度の戦略を立てる必要に迫られる。それにしても、3択とジャンケンを絡めるという単純なことをよく考えついたものだ。
 1問目は「イグアス滝」の発見者で、知ってりゃ正解できるが、分からなければ3分....ではなくジャンケンに託すことになる。正解の「バカ」を選んだのは、意外にも20人中4人だけ。通常ならばここまでだが、「バカ」の選択肢であったグーに勝った「パー」を挙げた6人には1点が入る。
 その後、ややカンに頼る問題が半分程度の割合で進み、9問が終わった段階でこーぢとかおりが17点でリーチ。こーぢは実力だろうが、かおりは誰が見てもカンで点を重ねてきたようで、逆にここまでカンだけで正解を重ねられるとは凄いものがある。10問目「リバティの前会長と同じ名前の「ワタナベトオル」が主人公の小説」という問題。かおりとこーぢの挙げた解答は共にグーの「ノルウェイの森」で、これが見事正解となって3点を追加し3R進出を決めた。また、ちょうど渡辺徹本人がいたが、不正解の上にジャンケンにも負けていた。
 11問目でジャンケン勝負には運がなかった西田が3位に入り、その後も続々と通過者が決まっていく。
 13問目が終わり、残る枠は2つという段階で、リーチは19点の安部さん、ラガー、小林君、18点の宮澤君、17点の矢野、市川、神山と、鎬を削る状況。間違いなくこれで枠は埋まるであろう14問目は「アレン・ギンズバーグの詩集のタイトル」。結果、リーチをかけていた者の中で「(グーの)リアリティ・サンドイッチ」を正解したのは市川のみ、そして19点の中でジャンケンに勝ったのは小林君のみと、別々の形で同時に勝者枠は埋まった。

勝ち抜け
1位 菊池かおり6○4△
   井上幸治 6○2△2×
3位 西田司  6○2△3×
4位 能勢一幸 5○5△2×
   藤波涼  6○3△3×
   奈良間貴洋6○2△4×
7位 村上彰  6○4△3×
   黒巣弘路 6○2△5×
9位 市川尚志 4○8△2×
   小林究  5○5△4×
 それにしても、かおりの0×は、何かを超越しているとしか考えられん。


2R[2]:サバイバルボードクイズEASY(20人→10人)

挑戦者
ペーパー 1位:沼田正樹
ペーパー 7位:串戸尚志
ペーパー 9位:大倉太郎
ペーパー10位:鈴木舟太
ペーパー20位:山本剛
ペーパー22位:鷹羽寛
ペーパー27位:森家盛
ペーパー28位:中村ひさし
ペーパー29位:神野芳治
ペーパー30位:佐々木繁樹
早押し1組2位:岡村悟史
早押し2組3位:待木祐紀
早押し3組3位:多田光伸
早押し4組3位:外祥昭
早押し5組1位:若林一也
早押し6組3位:小池直樹
早押し7組3位:西村友孝
早押し8組3位:吉屋大樹
早押し9組2位:丸山淳
早押し10組3位:永井智子

 このコースは上の挑戦者の順位を見て分かるとおり、上位者に敬遠されて無理矢理組み込まれた人がかなりの数に昇っている。ちなみに、家盛、西村のそっくりさんコンビがちょうど前後に並ぶ形となって、「おお、どっちがどっちだかわかんないよ」「途中で入れ替わらないように」と、話題のネタになっていた。
 易しめのボード問題というわけで、私は「なぜ山」と振ってきたら即座に「ジョージ・マロリー」と書くつもりでいた。企画名から初心者向けの問題を予想していたので、足腰がちゃんとできていればこのメンバーの10位以内には残れるものという自信はあった。
 1問目、「マックス・フライシャーが生み出した女の子のキャラクター」という問題。このレベル の問題が簡単な部類に入るのか?と疑問に思いつつ「ベティ・ブープ」を正解。ペーパー通過組はRyuさん以外の9人が正解。逆に早押し通過組は外さんと吉屋の2人だけが正解と、くっきりと分かれた。
 このレベルの問題なら、10問消化しないうちに決着が着きそうだと気が緩んだか、2問目の「射法八節」を「射影八節」とイージーミスしてしまう。ただ、この問題の正解者が串戸、Ryuさん、神野、中村さん、西村の5人しかいなかったのが幸いだった。これにより、早くも失格にリーチをかけた人が7人も出てきた。
 3問目は「東京オリンピックのポスターをデザインしたデザイナー」。「おっ、これは第1回でじま杯準決勝のボードクイズで俺が単独正解した問題じゃん。懐かしいな〜」と思いつつペンを走らせ「亀倉雄策」を正解。正解者は14人おり、1年経ってもうベタになったんだな〜と、ちょっと驚く。これにより、待木、小池さん、サティの3人が1問も正解することなく敗退していった。脱落するのはあと7人。
 4問目は薬物の幻覚現象から「フラッシュバック」を答えさせる、上位進出するには落とせない問題。ペーパー通過組は全員正解だが、早押し組では岡村さん、多田、外さん、若林さんの4人が3×となって失格。残るはあと3人。
 5問目はウィリアム・バロウズの代表作。(また)麻薬が問題文に絡んでいたので「ジャンキー」を答えようとするが、なぜかこの単語が思い出せない。無解答は避けたかったので、とりあえず「裸のランチ」を答える。これで2×になると覚悟するが、何とこっちが正解であった。これによりRyuさんと丸山さんの2人が失格。
 残る脱落者は1人となり、この時点で2×は西村、吉屋、大倉、家盛、佐々木さん、中村さんの6人。1×or0×はほぼ勝ち抜けを決めたと言える状況だった。
 6問目「ヤジュール、サーマ、アタルバ、リグ....」と読み始めたので、「バラモン教の経典」である「ヴェーダ」を答えさせる問題であることが容易に分かった。問題途中で解答を書き終え、「ここまで残った人で、間違えそうな人はいないから、もう一問あるだろうな」と、頭を次の方へ持って行こうとしたが、すぐ隣の大倉が机に突っ伏す形で悩んでいた。「まさか....」という考え通り、大倉はクイズプレイヤーには基本とも言えるこの問題を無解答で誤答。予想だにしなかった形でこのサバイバルボードEASYは決着、そして昨年の優勝者はあっけなく消え去った。

勝ち抜け
1位 神野芳治 6○
2位 沼田正樹 5○1×
   串戸尚志
   鈴木舟太
   鷹羽寛
6位 森家盛  4○2×
   佐々木繁樹
   中村ひさし
   西村友孝
   吉屋大樹
 終了後、解答が終わったボードのペンを拭くのに使うティッシュを大量に余らせていた家盛が「舟太さん、この余ったティッシュ、何に使いましょうか?」と、意味深なことを聞いてきたので、ストレートに「かおりと一緒に使えや」とのたまったら、私の顔面に家盛のロケットパンチがめり込んでいた。


2R[3]:一問多答クイズ(20人→10人)

挑戦者
ペーパー 3位:栗田修
ペーパー 4位:西村陽
ペーパー 5位:松石徹
ペーパー11位:舛舘康隆
ペーパー12位:高山慎介
ペーパー14位:大村哲也
ペーパー15位:新井浩
ペーパー17位:宮崎裕茂
ペーパー18位:日高大介
ペーパー19位:塚本丈二
早押し1組1位:矢野淳一
早押し2組1位:松本裕輔
早押し3組1位:後藤宗範
早押し4組1位:小野大佐
早押し5組3位:堀滋
早押し6組2位:鈴木亮
早押し7組1位:沼屋暁夫
早押し8組2位:板垣英夫
早押し9組3位:光山聡
早押し10組1位:斉藤英司
 2Rの1番人気となったこの一問多答。ルールがルールだけに、結構知識を問うものが来ると予想していたのだが、1問目でいきなり裏切られることに。

1問目「名前に「後」という字がつく天皇」

用意されていたのは運の要素が強い問題だった。栗田を始め、「フランス6人組」といった知識を問う問題を予想していたであろう人の顔が若干ひきつり始めていた。結局この問題は7人の人が1点を獲得。一番人気は「後三条天皇」の4人で、反対に後白河や後鳥羽といったメジャーな天皇が0人だったのは、一問多答のアヤである。
 2問目は「海に面しているアメリカの州」。この問題で亮と板垣君という、奇しくも都立オープンで1対1を戦った早稲田勢が2点目を獲得して勝ち抜けた。3問目は「日本にある漢字4文字で書く市」。この問題で一気に5人が勝ち抜け。早くも残る枠は3つにまで減り、さらに7人がリーチをかけていた。
 4問目は「8千m峰」。ヲイヲイ、地理問題が3問も続いているじゃないか。問題数が少ないんだから、ジャンルの偏りを考えて出題しろよ〜。肝心のクイズの方は、世界最高峰のエベレスト、2位のK2では4人、4位のローツェでは3人と、この3つだけで13人のうち11人がポイントを阻まれた。残った2人は、高山が8位のチョー・オユで、矢野2号が9位のナンガ・パルパットで2点目を挙げて両者とも勝ち抜け。
 残る枠は1つ、リーチは5人。5問目は「総理府の外局」と、どれを解答するべきか難しい問題。得点を挙げたのはいずれもリーチをかけていた新井さん、塚本、沼屋の3人。これにより、3人でサドンデスが行われることになった。
 サドンデス問題は「サッカーW杯開催国」。発表は解答を一つずつ発表していく方式で、塚本が途中で脱落して新井さんと沼屋のシーソーゲーム。どっちが勝つかハラハラさせたが、1点差で沼屋が新井さんを振りきって勝ち抜けを決めた。

勝ち抜け
1位 鈴木亮  2問目
   板垣英夫
3位 松本裕輔 3問目
   大村哲也
   西村陽
   松石徹
   後藤宗範
8位 高山慎介 4問目
   矢野淳一
10位沼屋暁夫 5問目
次点 新井浩
   塚本丈二
 やはり、運が大きく左右する企画となってしまったことと、結果的に地理問題が5問中3問を占めたことはいただけなかった。運の要素が大きいとクイズをやる意味がないし、ジャンルが偏ってしまうとプレイヤーによる有利・不利が嫌が上でも出てくるから、もうちょっと問題に工夫をして欲しかった。


敗者復活戦(敗者全員→2人)

 法政オープンの恒例企画には、コーナー別に設定されるイントロ企画と、今回残念ながら消え去ってしまった「5人必答」があった。そしてもう一つの恒例企画である名前ビンゴは今年もこの敗者復活で行われた。この企画は自分の名前をビンゴに使うもので、まず、自分の名前をビンゴカードに見立て、私なら「すすきしゆうた」と、全て清音に直される。その後、司会者が袋の中からひらがなが書かれた紙を取り出し....と、ビンゴと同じ要領で進んでいく訳である。ちなみに、今回はビンゴで即勝ち抜けではなく、上位5人が揃った段階でもう1つの企画を行うとのこと。
 例年ならば20文字も引けばリーチどころかビンゴで復活を決める人も出てくるところだが、今年はまだリーチをかける人が一人も現れない。その理由は、マ行、ナ行、ラ行といった、名前にはあまり使われないひらがなばかりが引かれていたからであった。ず〜っと沈黙が続く中、26文字目の「し」で、ようやくリーチをかけた人が5人ばかり出てきて、ようやく盛り上がりを見せ始める。
 最初にビンゴを揃えたのは、29文字目の「さ」で揃った飯田暁。その後、同時にビンゴを揃えたという事で枠を7人にまで増やし、その中には栗田修、塚本丈二、若林一也さんなどの強豪がいた。
 5人の枠を簡単に7人に増やしたという事は、もう1段階の企画は軽いノリのものなのだと予想できた。その軽いノリの企画は「ドカン危機一髪」というもので、「笑っていいとも」で流行ったお遊びであった。最初のお題「キャブラー」では栗田が最初の失格者となり、次の「ドラマ」では若林さんと飯田が失格。最後の「法政出身者」で勝負が決まり、敗者復活したのは田なぢゅんこと早稲田大学の田中純と、先程の一問多答においてサドンデスで敗れた塚本丈二の2人であった。


3R[A]:通過クイズ(8人→3人)

解答者8名7名6名
1回目7人6人5人
2回目5人4人3人
3回目3人2人2人
4以上1人1人1人

挑戦者
ペーパー16位:黒巣弘路
ペーパー21位:村上彰
ペーパー27位:森家盛
ペーパー28位:中村ひさし
ペーパー29位:神野芳治
早押し3組1位:後藤宗範
早押し6組2位:鈴木亮
早押し8組3位:吉屋大樹
 定番ルールの通過クイズに、マンオブでも用いられた阻止側人数制限の設定を付けたもの。メンバーの早押しの実力は、黒巣と神野が一歩先んじている印象である。
 1問目、前フリが読まれたあとで本名の「エディット・ジョバンナ・ガシオン」が読まれたので、嶺上杯で出題されてるな〜と、その大会の主催者の吉屋を見ていたら、やっぱり吉屋が「エディット・ピアフ」を正解して先制した。その後は続々と1ポイントを上げる人が続く。
 7問目に「本名をエリノラ・フェイガンという黒人女性ジャズシンガー/」で「ビリー・ホリデー」を神野が正解して1ポイントの仲間入りをし、8問目の「兼高かおる」も二連取して最初の通過クイズ挑戦となった。阻止側は他の7人全員。

9問目「人間は限界状況に直面して自らの有限性を自覚し、超越者の存在を感じることができると説いたドイツの実存主義哲学者で、著書に「哲学」「現代の精/神」
神野「ヤスパース!!」

7人もいるから誰か阻止するかと譲り合っていたようにも見えたが、第6回全日本でも正解している「ヤスパース」を確実なポイントで取り、神野が三連取で通過クイズをトップ抜けした。
 神野が勝ち抜けた直後の10問目で黒巣が「トバ湖」を正解し、2ポイント目を挙げて通過クイズ挑戦。11問目「その著書「暦象新書」の中で/」という速攻の押しで行ったが誤答。(正解は「志筑忠雄」)
 黒巣の通過失敗直後、今度は中村さんが「第三身分とは何か」を正解して通過クイズ挑戦。13問目は黒巣が阻止失敗。14問目、問題文が長々と読まれ、最後のポイント部となる「CCという/ニックネーム」で吉屋が「クラウディア・カルディナーレ」を正解して、中村さんを阻止すると共に通過クイズ挑戦。スルー2問と村上さんの誤答を挟んだ18問目、「ホースニュース社」というキーワードで反応した家盛が「井崎脩五郎」を正解して阻止。
 通過阻止が続いたので、しばらくはポイントを上げていく展開になるだろうという所で、先程通過阻止された吉屋と黒巣が順に正解、まだ通過クイズに挑戦していない家盛と村上さんの4人がリーチという状態で、22問目は吉屋が「鈴木三郎助」を「鈴木三郎之助」とうっかり誤答し、

23問目「本名フレデリック・シャルル・バルゴーヌ/」
黒巣「クロード・ファレル」

と、本名押しで黒巣が先に2度目の通過クイズ挑戦。阻止側は4人で、黒巣が引いたカードによって村上さん、中村さん、吉屋、亮が選ばれた。24問目は吉屋が休み中で阻止側は事実上3人。阻止側は厳しい状況の中、中村さんが「肺の毛細血管/(を発見)」と絶好のポイントで解答権を取り阻止したかに見えたが誤答。(正解は「マルピーギ」)入れ替わりで吉屋が復帰したが....

25問目「三振5、内野ゴロ17、内野フライ2、外野フライ3の合計78球という内容で、昭和53年3月30日、春の選抜高校野球/」
黒巣「松本稔」

黒巣が嫌いな野球問題で見事通過を決め、これで通過枠はあと一つ。
 26問目は正解できずに苦しむ亮が誤答。27、28問目「大いなる眠り」「タヴィアーニ兄弟」を中村さんが連取。阻止側は3人で、中村さんのカード選択によって、村上さん、家盛、吉屋が選び出された。中村さんには、1回目の7人全員が相手の時よりもかなり有利な状況での通過クイズとなった。

29問目「1913年にはメジャーリーグのジャイアンツと契約し、その年の秋にホワイトソックスとの合同遠征メンバーのライトとして来日した経験もあるという人物で、1912年、第5回ストックホルム五輪では走り高跳び4位、走り幅跳び7位、そして陸上の五種と十種/」
中村「ジム・ソープ」

神野が抜けた直後の阻止合戦が嘘のように、あっけなく3人目の通過者は中村さんに決まった。

神野芳治 3○    9問目勝ち抜け
黒巣弘路 5○3× 23問目勝ち抜け
中村ひさし5○1× 29問目勝ち抜け
吉屋大樹 3○1×
後藤宗範 1○
村上彰  1○1×
森家盛  1○1×
鈴木亮    1×
 通過クイズに挑戦した人が4人だったという事もあったか、これといった山場を迎えることなく決着したという印象が残った。


<一口メモ>


3R[B]:早押しボードクイズ(8人→3人)

挑戦者
ペーパー 1位:沼田正樹
ペーパー 4位:西村陽
ペーパー 7位:串戸尚志
ペーパー10位:鈴木舟太
ペーパー23位:西田司
ペーパー30位:佐々木繁樹
早押し2組1位:松本裕輔
早押し7組3位:西村友孝
 私が組み込まれたのはこの組。メンバーを見た感じでは、沼田、串戸、西田が三強で、桁外れの押しで他を圧倒しそうな雰囲気だった。
 その予感は的中し、

1問目「昭和30年、「漫画読本」に発表した「行ってしまった子」で/」
沼田「谷内六郎」

2問目「その理由は死の神タナトゥスを捕らえて鎖で縛り、死者を作らせないようにしたからであるとも、死んで地獄に堕ちながらいったん地上に戻る許可を得たのをいいことに/」
西田「シシュフォス」

と、両者がいきなりの単独正解で一気に7点と他を引き離した。私は「こりゃ、串戸が出てくるのも時間の問題だろうし、勝ち抜け者が出ると1問で入る得点が減ってしまうので、この段階で仕掛けないとやばそうだ」という念に駆られる。

3問目「昭和9年11月、羽織、袴に下駄履きという正装で、当時の駐日大使ジョゼフ・グルーの娘であるセシル・バートン・ライアンに面会したい、と東京・築地の聖路加国際病院を訪れ、そのとき病院の屋上にある塔の上から東京の街を/」

「おっ、やった、これは俺が書いた「第8回マンオブザリバティ問題集」の決勝ボードクイズにある問題だ。ラッキー。つうことは、後輩らはこの本をベースで問題を作ったんか?でも、俺を勝たせるためにわざわざ用意するわけないよな。」と、いろいろ考えているうちにシンキングタイムは終了。ボードを挙げると共に「トーマス・バーグ」と解答。一瞬、「あれ?何かおかしいな?」と思いつつ、問題の続きを聞き終え、正解の「モリス・バーグ」が発表されて愕然。「しまった、トーマス・バーグは第1回五輪の陸上100m走の優勝者やんか」と気付いても後の祭りである。さらにこの間松本君が正解して3点を獲得。この名前間違いで私は都合9点損したことに。
 4問目は西田が2度目の単独正解で得点を14点に伸ばす。5問目はダダイストカップとRyu杯で出題され、私の体験記上でお遊びネタに使われた「アマルテア」を痛恨の押し負けで西田に持って行かれる。これで西田は19点とし、勝ち抜け目前。2位は沼田の9点、3位は3点の松本君。そして間の4人にはまだ動きはなく、私が「アマルテア」で盛り返して−1点。こうなってくると、最初はボードで拾っていくことを考えていたが、守りのクイズをしていては勝てないと判断し、攻めに転じることを決める。

6問目「1974年に引退を表明し、当時のメデイシ大統領や多くの国民の懇願にも応じなかったが、その翌年、巨額の債務を負っていたことや、サッカー不毛の地であるアメリカを救いたいという理由から/」

攻めに転じようと決めた直後、早押し解答権を獲得。「な〜んだ、これは有名な逸話じゃん。だからアメリカに渡ってニューヨーク・コスモスが最後の所属チームになったんだよね。」と、高得点はあまり期待していなかったが、意外にもこの「ペレ」が単独正解となり、望外の7点をゲット。それにしても、「ブラジルサッカー」で「アメリカ」が出ていたのだから、他に正解する人がいてもおかしくなかったのだが、まっ、私が7点取れたという事で、儲け儲け。
 7問目、沼田が解答権を得た時点でかなり長いこと問題が読まれていたが分からず。この「ロリータ」で沼田が15点と、大きな早押し正解1つで勝ち抜けられる段階に到達。
 8問目、どこかで聞いたようなエピソードがいくつか読まれ、「アムネスティ」というキーワードが出ても思い出せなかったが、「作家」が聞こえた段階で思い出して解答権を得たが、問読みの森本が勢いで「半村良」まで読んでしまいガックリ。当然この「イーデス・ハンソン」は全員が正解。この場合はルール通り、早押し正解でもメリット無しの0点。早押し正解は(不正解者+1)点にしていて欲しかったと恨み言を言いたいところでもあったが、この時は自分でも予想外に早押し解答権を得られていたので、串戸を抑えて3人目の枠に入れるのではと、勝負の方に目が行っていた。

9問目「父のアドルフは3度もノーベル賞候補になるほどの著名な整形外科医であったという人物で、動物学を解説したエッセイ「ソロモンの指輪」、「人イヌに出会う」などの著書もある、1973年に「個体的・社会的行動様式の組織と誘発に関する諸発見」により西ドイツのフリッシュ/」

 解答権を得たのは、やはり科学王・西田。私は最近「ソロモンの指輪」を入手したが、読まずに部屋に置きっぱなしにしていたため、名前を思い出せず苦しんでいた。そしてやっとの事で思い出し、書いた答えは「ローレンス」だったが、正解は「コンラート・ローレン“ツ”」で、また名前の勘違いに泣くことに。西田は別に早押し解答権を取らなくても良かったのだが、これで6点を追加して25点とし、早押しボードをトップ抜けした。
 1人抜けたことが影響したか、10問目は西村、11問目は佐々木君が早押し誤答。この段階で、トップは沼田が15点で、あとはいつ勝ち抜けるのかという点だけが注目であった。2番手は私で6点、3番手にはボードで点を拾ってきた松本君が5点で付けていた。
 12問目は沼田が早押し正解するも、不正解者は上位に付けている私と松本君の2人で、17点に伸ばしただけ。13問目は佐々木君が2度目の早押し誤答で戦線から脱落。

14問目「「ポロの技法」「エジプト象形文字の母音」「放射能の原子構造」などの専門的な著書があるという人物で、叔母の遺した莫大な遺産のため働く必要が無く、ニューヨーク東38番街の豪華マンションに住んでいるという、「ベンスン殺人事件」で初登場した、アメリカの推理作家ヴァン・ダイン/」

 解答権を取ったのは沼田。「ヴァン・ダインが生んだ探偵って、誰だっけ〜」と、必死に思い出そうとしたが、結局沼田の勝ち抜けに貢献するだけとなった。結局この「ファイロ・ヴァンス」は串戸だけがボード正解したにとどまり、沼田は5点を追加して合計を22点とし2位で勝ち抜け。その直後、沼田はイスに立ち上がっていつもの踊りを披露し始め、勝利の余韻に浸っていた。
 この段階で通過枠はあと一つ。先程の「ファイロ・ヴァンス」で、トップは私と串戸が6点で並び、以下は松本君5点、西村3点、西村さん1点、佐々木君−2点。1問につき、最高で5点しか入らなくなっているので、20点到達よりも20問消化で判定に持ち込まれる可能性が高い。できる限り早い段階で串戸との点差を開いて、あとは他の5人の焦りを生じさせて自滅を狙う事にした。

15問目「1989年製作の「ハートに火を付けて」、1994年製作の「デューン砂の惑星〜特別編〜」、199/」

 「ハートに火を付けて」で、「あれ?どこかで聞いたことがある映画だな?」と、どこで覚えたのか頭をフル回転させた。それに続いて来た「デューン砂の惑星〜特別編〜」で、自分が持っているTSUTAYAクラブの「シネマハンドブック」で、答えとなる事象からそのタイトルを確認した映画だという事を思い出し、期待と不安が半々であったが解答権を取る。他5人はこの段階ではさすがに答えを絞れなかったようで無解答。そして私が解答する段になって「アラン・スミシー」と書かれたボードをオープンする。問題文の続きが長いこと読まれ、会場からは徐々に「おっ、舟太やるなぁ」という声が漏れ、単独正解であることが告げられ、ここに来て貴重な5点を追加する。
 前の問題の単独正解に焦ったかどうかは分からないが、16問目は串戸が早押し誤答で後退。17問目は「そうじゃないのかな〜」と再び守ってしまい、西村にみすみす早押し正解を持って行かれる。

18問目「昭和47年に「人食い魚」で第1回日本漫画家協会賞努力賞を受賞したという漫画家で、高校在学中に「こども島」という作品でデビュー以後、次々/」

 解答権を取ったのは松本君。また漫画家かと思っていたが、何と1問目でボード誤答時に書いた「辰巳ヨシヒロ」が正解であり、こんな偶然があるものなのかと驚く。それよりも、これをボード正解したのは串戸のみであったため、松本君が急浮上。
 残り2問で、私が12点、松本君が9点、そして串戸と西村が6点と、最後の席に手をかけつつあった私にイージオス勢3人が追う形。19問目、連続での早押し正解が必須条件だった西村が解答権を取るが、これは誤答で自滅。また、この影響で串戸も逆転不可能となる。
 20問目、私と松本君のどちらかという状況だったが、3点差でリードしている私は、松本君が早押し正解してもボード正解すれば勝てるので、ここに来て守りに入る。問題が読まれる間待っていたが、解答権を取ったのは何と串戸。後輩の勝利よりも、自分自身の勝負に徹したのだろう。この串戸のアシストのおかげで、解答を待つことなく私の勝利が決定した。

問題数&解答沼田 舟太 西村友佐々木松本 西田 串戸 西村陽
1谷内六郎      ☆7
2シシュフォス    ☆7
3モリス・バーグ   ×-3○3
4トーマス・ジャクソン☆14
5アマルテア     ○9○-1☆19
6ペレ        ☆6
7ロリータ      ☆15○3
8イーデス・ハンソン ○15☆6○3○0○3○19○0○0
9ローレンツ     ○3☆25勝
10ヤーコプ・グリム ×0−−○3
11夕暮れ族     ○2×0○5−−
12アブサロム    ☆17○3○1−−○4○1
13堀田善衛     ×-2−−
14ファイロ・ヴァンス☆22勝−−○6
15アラン・スミシー −−☆11−−
16小倉清三郎    −−−−×3
17ルイーズ・ブラウン−−○12☆6−−○4
18辰巳ヨシヒロ   −−☆9−−○6
19オズワルド    −−×3−−
20ラッサール    −−○0−−☆10

 個人的な成績では、やっぱり「モリス・バーグ」の誤答がなければ、アラン・スミシーで格好良く勝ち抜けられたんじゃという気にはなる。でも、あの誤答がなければ攻めに転じることなくずーっと守っていて、あまり点数が伸びなかったんじゃ無かろうかとも。まぁ、今後はこういう間抜けな誤答はしないように気を付けたいところである。
 企画に勝っておいて言うのもなんだが、ちょっと人名が答えになるものが大過ぎ。架空の人名も含めると、20問中16問が人名を答えさせるものだった。早押しボード向きの問題となると、エピソードを「マイナー→メジャー」に並べることで問題を成立させやすいからこそ、ひと工夫が欲しかった。


<一口メモ>


3R[C]:サバイバルクイズ(8人→3人)

挑戦者
ペーパー 5位:松石徹
ペーパー 6位:能勢一幸
ペーパー12位:高山慎介
ペーパー14位:大村哲也
早押し6組1位:奈良間貴洋
早押し7組1位:沼屋暁夫
早押し8組1位:藤波涼
早押し7組2位:小林究
 ルールからして、とりあえずはポジションが勝負の要となる。位置決めの1○1×は高山が最初に正解し左端を指定。2番目の大村さんは正反対の位置にある右端を指定し、以降の人は高山と大村さんのいるブロックを指定することになる。3番目の能勢さんは高山、4番目の奈良間は大村さんの横隣を指定。5番目の松石は奈良間・大村ブロック、6番目の藤波は高山・能勢ブロックを指定。7番目の沼屋は奈良間・大村・藤波ブロックを指定し、小林君は自動的に位置が決定。

<ポジション>
−−藤 波−−−沼 屋−−
|  |     |  |
高  能     奈  大
 −−      良−−
山  勢     間  村
|  |     |  |
−−小 林−−−松 石−−

 ポジション的に見ると、高山−能勢、沼屋−大村−松石のラインを中心として展開しそうである。
 1問目、その予想を裏切るように、小林君が「ベーグル」を正解して先制。高山、能勢さん、松石の3人は−2で、他4人は−1。

2問目「引退後は高砂親方としてハワイから高見山/」
高山「前田山」

小林君に反撃するように高山が正解を返す。その後は松石2○1×、能勢さん、小林君が1○ずつ。7問を終わった段階で、なんと1問も正解していない沼屋が24点でトップ。そして他7人は22点で並んでいた。そう、序盤は高山、能勢さん、小林君、松石の4人だけしか答えていなかったので、沼屋は−2でのダメージを1度も受けていなかったのである。この辺り、ポジション選択がかなり重要だったようである。

8問目「本名繁田裕司。昭和22年にNHKラジオの番組/」
大村「三木鶏郎」

 中盤戦を前に、大村さんがようやく沼屋に初の−2ダメージを与えるが、あとが続かない。9問目からは能勢さん、藤波君、高山と、高山ブロックがヒートアップするが、近いポジションで正解者がばらけると、当然−2で減らし合うことになるので、大村ブロックのプレイヤーと点があまり変わらない。
 18問を終了した時点で、トップはポジションに恵まれた観のある沼屋で14点。それに接戦を続ける高山、能勢さんと、大村さんが12点で続き、藤波君、松石が11点、小林君、奈良間が10点。上下の差はまだ4点差という事で、まだチャンスは十分に残っている。
 終盤戦にさしかかるあたりで、遂に沼屋が爆発。19問目は藤波君が「リョコウバト」を正解して高山、能勢さんを逆転するが、沼屋が20問目に「青木周蔵」、松石の正解を挟んだ22問目に「ギルバート」を正解し、ポジションでの有利さに拍車をかけて一気に他7人を引き離す。こうなると沼屋11点に対し、隣接する藤波君6点、大村さん5点、奈良間3点と、この段階で勝利はほぼ決めたも同然。一矢報いようと23問目は奈良間が「パース」で初正解するも、24問目を誤答してあと1点に追い込まれる。

25問目「昭和29年、吉川重三郎さんが日本で初めて/」
能勢「瓢湖」

 大先輩・能勢さんの手に掛かり、これで奈良間は最初の失格者となった。この時点で沼屋8点、能勢さん6点、松石5点、高山4点、藤波君3点、小林君、大村さんが2点と、そろそろ失格者が続出する最終段階に入ってきた。

26問目「1935年にオスカー・ドミンゲスが考案した/」
高山「デカルコマニー」
27問目「「暁の超特急」吉岡隆徳に指導を受け、手動計時で10秒1の日本記録を出し、1968年のメキシコオリンピックでは/」
高山「飯島秀雄」

 この終盤に来て高山が貴重な二連取。これで小林君、藤波、大村さんの3人がまとめて失格。そしてこの高山の活躍によって、隣接者が消え去った沼屋と松石が一気に勝ち抜け。これで早押し席に残ったのは高山と能勢さんの2人だけ。序盤から接戦を繰り広げていた2人の一騎打ちという局面で、得点は高山4点、能勢さん2点と、高山が1問分のアドバンテージを持っていた。

28問目「1991年にリトアニアがソ連から独立した際、かつて日本領事館が/」
能勢「杉原千畝」

 意を決した能勢さんの攻めは吉と出て、これでイーブン。次の1問で勝負は決まる。

29問目「後藤象二郎らの援助によって1869年に「成駒屋」という日本初の馬車会社を設立した、本名を桜田久之助という人物で、ハリスの通訳のヒュースケンや写真家のウンシンから写真術を学び/」

解答権を取ったのは高山。ほぼ確定ポイントまで読まれていたが、高山の口から出た答えは「上野彦馬」という惜しい誤答。(正解は「下岡連杖」)プレッシャーに負けた形で高山は自滅、3つ目の席には能勢さんが着いた。

松石徹  4○2× 隣3人:5○  27問目勝ち抜け
沼屋暁夫 3○   隣3人:5○  27問目勝ち抜け
能勢一幸 4○   隣3人:8○  29問目勝ち抜け
高山慎介 4○2× 隣3人:8○  29問目失格
大村哲也 2○1× 隣3人:8○  27問目失格
藤波涼  2○   隣3人:10○ 27問目失格
小林究  2○   隣3人:10○ 26問目失格
奈良間貴洋1○1× 隣3人:9○  25問目失格

 こうして成績を見ると、トップ抜けした両名はポジションに恵まれたと言える。反対に、失格した人はポジションに恵まれなかったと言えるだろう。3つ目の席を巡っての能勢さんと高山の対戦は見ものであった。
 スタッフがどういう風に得点を切り替えるのか決めていなかったようで、得点板表示で進行を停滞させていた場面がしばしば見られた。ルールからして得点切り替えで戸惑うことは予測できるだろうから、事前に誰がどういう切り替え方をするのかを決めておいて欲しかった。


<一口メモ>


3R[D]:イントロアップダウンクイズ(8人→3人)

挑戦者
ペーパー 2位:井上幸治
ペーパー22位:鷹羽寛
早押し1組1位:矢野淳一
早押し2組2位:市川尚志
早押し5組2位:菊池かおり
早押し8組2位:板垣英夫
敗者復活   :田中純
敗者復活   :塚本丈二
 ちょっとコンビニへご飯を買いに行って帰ってくると、もうイントロはすでに始まっていた。問題は6問を消費し、矢野2号と鷹羽さんが1点、田なぢゅんが2点だが1×という状況。
 7問目、エルトン・ジョンがダイアナ妃追悼時に歌った「キャンドル・イン・ザ・ウィンドウ」を、鷹羽さんが正解。それにしても、鷹羽さんがイントロでトップを取るとは、「アングルのバイオリン」を地で行くイメージがある。8問目はこーぢが正解。9問目、田なぢゅんが解答権を取り単独トップに立つかに見えたが誤答で2×、「お出」となってしまった。
 10問目はかおりが正解。11問目で岩崎宏美の「シンデレラ・ハネムーン」で鷹羽さんがリーチをかける。この時点でポイントを持つのは矢野2号、こーぢ、かおりの3人だが、皆1点であるため、鷹羽さんは絶好球になる問題をかなりの間待つことができる。
 13問目、一風堂のをカバーしたSHAZNAの「すみれSeptember LOVE」でこーぢが2点目。17問目でかおりも2点目。残り問題数が10問となり、1×ながらも21、22問目「GOD SAVE THE QUEEN」「シャングリラ」を市川が二連取して、2位争いが注目どころになってきた。
 23問目、高橋良明の「恋の3−2−1」でかおりが3点目を挙げ、11問目からじっと守りに入っている鷹羽さんに並ぶ。スルーが続いたあとの27問目、太田裕美の「木綿のハンカチーフ」で鷹羽さんが久しぶりに解答権を取って正解、これでようやくトップ抜けを決めた。
 残す問題はあと3問。かおりが3点でトップで、こーぢ、市川、田なぢゅんの3人が2点で並び、あと2つの枠を目指して挑む。
 28問目、河村隆一の「BEAT」を矢野2号が正解し2点目、勝者枠争いに5人目が加わる。29問目、森高千里の「ハエ男」を取ったのは市川。これで3点でかおりに並ぶと共に、こーぢ、田なぢゅん、矢野2号の3人に1点差を付ける。30問目は逆転を狙った田なぢゅんが解答権を得たが誤答であえなく決着。

鷹羽寛   4○       27問目勝ち抜け
市川尚志  3○1×(1○)
菊池かおり 3○
井上幸治  2○
矢野淳一  2○
塚本丈二  地蔵
板垣英夫    1×
田中純     3×(4○)

 法政オープンでは毎年コーナー別にイントロ企画が組み込まれるが、ワンサイドゲームになることが多く、8人中3人が地蔵になることも珍しくなかったが、今年のイントロは例年になく白熱していた。


準々決勝:上座ボードクイズ(12人→6人)

挑戦者
ペーパー 1位:沼田正樹
ペーパー 5位:松石徹
ペーパー 6位:能勢一幸
ペーパー10位:鈴木舟太
ペーパー16位:黒巣弘路
ペーパー22位:鷹羽寛
ペーパー23位:西田司
ペーパー28位:中村ひさし
ペーパー29位:神野芳治
早押し7組1位:沼屋暁夫
早押し2組2位:市川尚志
早押し5組2位:菊池かおり
 準々決勝進出者は見ての通り、ペーパー予選通過者9人に対し、早押し予選通過者3人。等価の予選形式だっだというのに、これだけの差が付くとなると....まっ、これだけで判断するのも危険というもの。
 準々決勝開始時で、時計はとっくに19時を回っていた。というわけで、広い会場はガラガラになっていて、盛り上がりに欠けそうな雰囲気だった。
 準々決勝の形式は上座ボード。ルールは多少複雑にはなっているが、上座からのスタートが有利であることに変わらないので、グリッドを決める1○1×はかなり重要であった。

1問目「今世紀半ばに有理型関数の値分布理論を作り上げたフィンランドの数学者で/」
神野「ネバンリンナ」

 フィンランドの数学者って「ネバンリンナ」しかおらんのか?という感じで、カンのようにも見える正解で、神野が1番の席に着いた。神野に続いて、黒巣、沼田と、有力どころが上位を埋め、4問目は能勢さんが惜しい誤答で12番目の最下位スタートとなってしまう。
 5問目、ラスパイレス杯でも出題された「情報スーパー活用術」で、私が解答権を取り「西村顕治」を正解。幸運にも4番グリッドからのスタートとなった。ちなみに、この本を読んだプレイヤーは口を揃えて「クイズとは何の関係も無い」と感想を語ってくれた。
 6問目は西田が「DDT」を思い出せず、11番グリッドに着く。その後は誤答が無く、鷹羽さん、中村さん、沼屋、松石、市川と続き、残った10番の席にかおりが着いた。

<スターティンググリッド>
1:神野芳治
 2:黒巣弘路 3:沼田正樹
  4:鈴木舟太 5:鷹羽寛 6:中村ひさし
   7:沼屋暁夫 8:松石徹 9:市川尚志
    10:菊池かおり 11:西田司
     12:能勢一幸
 上座の席次が決まり、本題のボードクイズのスタート。

1問目「1843年1月20日、ロンドンのチェアリングクロスにおいて、当時のイギリスの首相ロバート・ピールの秘書であったエドワード・ドラモンドを暗殺した人物で、殺人罪で起訴されるも精神異常とされ、以後の「刑事責任は犯行時において被告が自分の行為の性格と質を知っていたかどうかにより決まる」という考え方の基準にその名を残すのは誰?」

 さっぱりわからん。しょうがないのでいつも通り「スミス」と解答。白紙がほとんどを占める中、「マクノートン」で沼田と西田の解答が合う。正解はこの「マクノートン」で、沼田には5点が入ったが、西田には2点と、上座の差が3点差になって表れた。また、上座席は1位沼田、2位西田となって、他のプレイヤーは下座へ移る。
 2問目の「ヘティ・グリーン」は思い出せず、高得点のチャンスを逸する。3、4問目は全く分からず。この3問は正解者0で、予想以上の難度の高さに手が出ない。
 5問目、「ビッグコミックオリジナル」に「三丁目の夕日」を連載している作家を答えさせる問題。あの絵は多分挑戦者全員が1度は見ただろうが、その作者名となると全然知らない。こういう時は経験豊富な人が有利か、「西岸良平」を鷹羽さんと能勢さんが正解。ここでも上座の位置から、鷹羽さん4点、能勢さん1点と、同じ正解でも大きな差が出た。
 6、7問目は全員不正解。8問目、ロシアのプリマ・バレリーナを答えさせる問題と比較的易しめの問題が出たが、この「アンナ・パブロワ」を私は思い出せずに誤答。正解者は鷹羽さん、能勢さん、沼田、西田、黒巣の5人。上座上位5人が正解して、沼田、鷹羽さんはすでに10点。3位は西田、能勢さんと、下位スタートの2人が6点、5位は黒巣で4点で、6位は他7人が0点で動きなし。
 9問目、エドガー・アラン・ポー唯一の長編小説と、比較的簡単な問題なのだが、こういう問題を私は正解できない。1位席の鷹羽さんは誤答したものの、2位から5位の能勢さん、沼田、西田、黒巣、そして初正解の中村さん、松石と、6人が「アーサー・ゴードン・ピムの冒険」を正解。10問目は全員不正解。

<10問目終了時>
沼田15点、能勢11点、西田・鷹羽10点、黒巣8点、中村3点、松石2点、他5人0点

1:能勢一幸
 2:沼田正樹 3:西田司
  4:黒巣弘路 5:中村ひさし 6:松石徹
   7:鷹羽寛 8:神野芳治 9:鈴木舟太
    10:沼屋暁夫 11:市川尚志
     12:菊池かおり
 11問目はインシュリンの発見者で、やっと「バンディング」を正解したものの、私は9位席にまで下がっていたので3点を獲得したに留まる。また、この問題は15問中で最も多い7人の正解者が出て、上位陣はほぼ足場を固めていた。結果、沼田20点、能勢さん17点の上位2人は準決勝進出を確定。3位以下は黒巣12点、西田、鷹羽さん10点、中村さん7点、神野、私3点、市川、松石2点、沼屋、かおり0点。

12問目「1902年、戦艦「朝日」の水雷長となり、日露戦争開戦後の1904年3月、ロシア海軍の根拠地・旅順港の汽船による閉塞戦に参加して戦死し中佐に進級した、その最期は文部省唱歌として歌い広められ、国定教科書にも登場したのは誰?」

 誰だ?そりゃ?と、こんなん正解できる人がいるんかいな?と疑問だったが、黒巣と神野の2人が正解。これで黒巣も17点として勝ち抜けを確定。そして10問目まで0点だった神野は二連取で7点に伸ばし、得点の上では中村さんと同点だが、上座順位によって6位に浮上し逆転。
 13問目は正解者無し。14問目は有島武郎の「或る女」に登場する早月葉子のモデルで、「佐々木豊寿」を黒巣が単独正解。
 残る問題は1問。上位3人は勝利確定。下位4人は敗退決定。西田(8位)、鷹羽さん(10位)10点、神野(2位)、中村さん(5位)7点、私(6位)3点が残り3つの席を争うわけであるが、私の勝利条件は、中村さんと神野が誤答して、私が正解することである。が、そんなに世の中うまく行くわけはないと達観していた。
 最後の問題は、五輪で最も長い42.75kmのマラソンコースとなった第7回アントワープ五輪の優勝者。そんな選手を知るはずもなく、「フィンランド」というキーワードだけで「ヌルミ」と解答。正解の「ハンネス・コーレマイネン」は全員不正解で、そのまま順位確定となり、4位に西田、5位に鷹羽さん、そして6位は中村さんと同点ながらも、上座位置にいる神野が着いた。

黒巣弘路 23点(5○):1位
沼田正樹 20点(4○):4位
能勢一幸 17点(4○):3位
西田司  10点(3○):8位
鷹羽寛  10点(2○):10位
神野芳治  7点(2○):2位
中村ひさし 7点(2○):5位
鈴木舟太  3点(1○):6位
市川尚志  2点(1○):7位
松石徹   2点(1○):9位
沼屋暁夫  0点    :11位
菊池かおり 0点    :12位
 やっぱり問題が難しすぎ。15問中8問と半分が正解者0問題で、ほとんどヤマ場が無く終わって盛り上がりはいまいちだった。
 それと、感じたのは私だけかも知れないが、難度が上がったのにシンキングタイムが2RのサバボーEASYと同じ10秒しかなかったのは短すぎる。せめて15秒は欲しかった。


<一口メモ>


準決勝:目隠し対決クイズ(6人→3人)

挑戦者
ペーパー 1位:沼田正樹
ペーパー 6位:能勢一幸
ペーパー16位:黒巣弘路
ペーパー22位:鷹羽寛
ペーパー23位:西田司
ペーパー29位:神野芳治
 まず最初に、挑戦者6名に目隠しをしてもらい、各自にカードを引いてもらった。その結果、組み合わせは以下のように決定した。
黒巣弘路 対 沼田正樹
神野芳治 対 鷹羽寛
西田司  対 能勢一幸
 会場の者は本音かヤジか、「え、これ事実上の決勝戦じゃん!!」などと、挑戦者を煽るような言葉を投げかけていた。

1問目「本名ドリス・ヴォン・カペルホフ。アル・ジョーダン/」
能勢「ドリス・デイ」

2問目「日本文芸家協会に入会を申請するも拒否されて/」
沼田「永山則夫」

 先制点は能勢さん。続く2問目も沼田が速攻で正解。3問目は神野が取り、

4問目「本名リカルド・エリエセル/」
西田「ネルーダ」

西田も本名押しで取り、5問目は鷹羽さんが正解。これで黒巣を除く5人が1点で並ぶ。6問目は西田が誤答で一歩後退。

7問目「九州で生まれた朝鮮民族の一少女が毎日欠かさずに付けていた/」
沼田「にあんちゃん」

 沼田がこれで全体トップの2点。そして本人は知らないが黒巣に2点差を付けて、決勝進出に大きく前進していた。
 8問目はマイペースの黒巣が確定ポイントで正解。9、10問目は神野が1○1×で相殺。11問目はトップを走る沼田が誤答で後退。

12問目「本名ルイ・ボワリエ。その作品は全て/」
西田「ジュリアン・グラッグ」

 西田がまたも本名押しで1点を取り直す。この時点で6人全員が1点で並ぶ接戦。残り8問でどう情勢は変化するか。
 13問目は「恵庭(えにわ)事件」を、西田が「けいてい事件」と答えてしまい、再び0点に逆戻り。14問目は黒巣が8問目の正解同様にギリギリまで読ませて「ラガーディア」を正解して2点とし、初めて全体のトップに立つ。15問目は西田が三たび正解を取り直して1点に戻す。
 16問目はスルー。そして目隠しの緊張感に押しつぶされたか、神野がここに来て2問連続で誤答して自滅。19問目がスルーとなり、鷹羽さんは自分の気付かぬうちに決勝進出を確定させていた。
 最後の1問。黒巣2対1沼田、西田1対1能勢の2組がどう動くかが注目となった。

20問目「サウスカロライナ大学で図書館司書として/」
西田「バイニング」

西田が実は劇的な正解で逆転勝利を決め、黒巣も沼田を下したが、挑戦者には分からない。司会から促されて目隠しを取って初めて、参加者は結果に一喜一憂していた。

○黒巣弘路 2対1 沼田正樹
 神野芳治−1対1 鷹羽寛 ○
○西田司  2対1 能勢一幸


<一口メモ>


決勝:7ポイント先取早押しクイズ(3人→1人)

挑戦者

ペーパー16位:黒巣弘路
ジャンケン7位、通過クイズ2位、準々:1位、準決:2対1沼田正樹
各ラウンド安定した力で決勝まで勝ち上がり、オープン初優勝を狙う。
ペーパー22位:鷹羽寛
サバイバル2位、イントロU1位、準々:5位、準決:1対−1神野芳治
法政オープンにおいてイントロ勝者では初の決勝進出。オープン初優勝できるか。
ペーパー23位:西田司
ジャンケン3位、早押ボード1位、準々:4位、準決:2対1能勢一幸
他プレイヤーを圧倒する速攻の正解が光る。花と蛇杯EASTに続く二冠なるか。
 ここまで勝ち残った3人ではあるが、超難問となる決勝では若干黒巣が有利に見える。それに鷹羽さん、西田がどう付いていくかがポイントである。

1問目「1959年に心臓麻痺でこの世を去った3年後に、夫人であったジャーナリストのアンヌ・マリー・ニコル・フルカードが、彼との思い出を綴った「ため息のとき」という手記を出版したというフランスの映画俳優で、1943年にイヴ・アグレ監督の「ラ・ボワトゥ・オ・レーヴ」でデビューし、その他の出演作品に「肉体の悪魔」「白痴」/」
黒巣「ジェラール・フィリップ」

 先制したのは黒巣。2問目はスルーとなり、

3問目「国王フランソワ1世の姉であり、ナントの勅令を発した/」
西田「マルグリット・ド・ナバール」
4問目「本名アルフレッド・チャールズ・ウィリアム・ハームズワース。ロンドンで弟のハロルドと共に大衆誌「アンサーズ」や子供向け漫画雑誌「コミック・カッツ」、女性誌「ホーム・チャット」などの雑誌を次々に刊行して幅広い人気を博したイギリスのジャー/」
西田「ノースクリフ」

 西田がすぐさま2点を返す。ちなみに3問目で正解が「バナール」として一度は誤答判定にされるという出来事があり、スタッフはこの大一番で大チョンボをしでかしてしまった。それにしても出題をする前に、深澤を始めとしたスタッフの誰一人「ナバール」を知らなかったのだろうか。
 続く5問目も西田が解答権を取り3連取かと思わせたが誤答で2休。西田が休みの間、

6問目「その名はギリシャ語で「輝く者」という意味であるギリシャ神話の登場人物で、1日だけの約束で借りた父の馬車で大空に乗り出すも道を踏み外し、ゼウスの雷によりエリダヌス川へ撃ち落とされて死んでしまい、彼の死を/」
黒巣「フェートン」
7問目「名家の出身で、アミアンの大学を優秀な成績で卒業し、将来を嘱望されていたが、彼女に出会った日より恋の情熱に引きずられるままに運命を翻弄されてしまう、アベ・プレヴォーの小説「マノン・レスコー」に登場する、マノン/」
黒巣「デ・グリュー」

と、黒巣が二連取して再逆転。このあとも接戦が続くかという矢先、鷹羽さんと黒巣の誤答を挟み、スルーが7問も続いてしまい中だるみ。
 17問目に久しぶりの正解をしたのは黒巣で、これで4○とし、優勝まであと3○。だが独走はさせじと、西田が次の問題で3○と、再び黒巣と1点差に詰める。

20問目「フェルディナンド・レイ演じる、南米の架空の国ミランダ共和国の駐仏大使ラファエル・アコスタが、友人のブルジョア達と食事に行こうとするが、約束/」
黒巣「ブルジョワジーの秘かな楽しみ」
22問目「リンネに植物学を学び、その門下には中川淳庵や桂川甫周らがいたスウェーデンの医師・植物学者で、1775年に来日し、禁を犯して日本の植物を採集しその結果をまとめた「日本植物/」
黒巣「ツンベルク」

 黒巣が西田に、1点差に詰められたものの即座に追撃を振り払って一気に6○としてリーチをかける。西田3○、鷹羽さん無得点という点差では、九分九厘優勝は決まったも同然の状況。23、24問目はスルーとなり、

25問目「賀川豊彦らと共に世界連邦アジア会議を開催したり、湯川秀樹らと世界平和アピール七人委員会を組織するなど、戦後の日本の平和運動に大きな役割を果たした人物で、マハトマ・ガンジーにあやかった的間雁二というペンネームで「通俗洗心洞箚記」や「大西郷全集」などを著したことでも知られる、大正2年にベストセラーとなったポケット顧問「や、此は便利だ」通称/」

解答権を取ったのは黒巣。

黒巣「下中弥三郎」

長時間に及んだ第6回法政オープンの優勝者は、リバティの先輩である黒巣弘路となった。これで法政オープンは第2回から5回連続で学生の優勝である。
 西田は途中までは黒巣とどちらが勝つかと接戦の争いをしていたが、終盤黒巣に引き離され、準優勝に終わる。それでも早押しの強さが光っていた準優勝だった。
 3位は鷹羽さん。法政オープンでは、社会人は決勝には残るが勝てないという不思議さもあるが、別に理由はないだろう。


<一口メモ>


 終了時間は20時半過ぎと、かなり長い時間のオープンとなった。企画数が普通のオープンよりも多いのはもちろんだが、各企画で得点板勘定等、スタッフの動きが冗長になっていたことによるロスも見逃せなかった。各企画にかかる最大時間を算出しておいて、ある程度の目安に沿って動いた方が良かったのでは無かろうか。


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