スタッフ
稲村卓麿、小沢秀一郎、北形綾一、木村俊孝、黒澤一雄、高鹿恵次郎、五条方昇、志村真幸、神野芳治、隅山恵理、千田裕之、多田光伸、谷口晶、夏目哲宏、西田司、西村法史、沼田正樹、日高大介、平田了、舟橋貴之、古屋なおみ、堀滋、松石徹、松尾浩、水野卓、村上康浩、山口裕司、山崎真、米内克弘
1996年12月、関西最大のオープン大会であった全日本が終了したことで、K−1が現存するクイズ大会の最頂上に位置づけられるようになった。慶応のスタッフに、その大きなプレッシャーがかかる中、第4回の開催日はやって来た。
今年もまた高円寺会館が会場なので、バスに乗って西荻窪へ行き、中央線にして3駅で、最寄りの高円寺駅に到着。私から見れば自宅から1時間もかからないところにある会場に、北は北海道から南は九州まで全国の強豪クイズプレイヤーが、現在史上最強と目されるクイズ大会に参加するために馳せ参じるというのは、普通の人には想像し難いことだろう。だが高円寺駅には現実に、今のクイズ界を代表するプレイヤーが数多く立っていた。
「このメンバーの中の56人に入れるのか?」と、弥が上にも不安は募るが、それはそれとして、あいさつ回り。大門から「祝!銀行員退職 長束恭行様」と書かれた色紙に何か一言書いてと頼まれた。長束さんが第9回史上最強のクイズ王で、ドイツの要塞戦「ジークフリート戦」を誤答したことにちなみ、「ノルウェーの要塞戦って何ですか?」と書く。
駅前のコロニーを離れ、一人で会場へ向かう。受付を済ませて会場内に誘導されると、到着順が悪かったため、かなり後ろの方に座らされる。が、前の方に栗田が座っているのをいいことに、「栗田の隣に移っていい?」と頼んで、前の席へ移させてもらう。栗田の隣に座って初めて気付いたが、この回りには関西の強豪と、リバティのオープン常連組の面々がほとんどを占め、カンニング、じゃなくて大会評価を聞くには絶好の場所となった。
第1R:50問ペーパークイズ(全員→56人)
順位 | 名前 | 主所属サークル | 主戦歴 | 得点 |
---|---|---|---|---|
1位 | 安藤正信 | QUAPS | 第3回K−1グランプリ優勝 | 48点 |
2位 | 山本耕造 | モンキーズ | 第4・5回全日本クイズ選手権優勝 | 46点 |
3位 | 橋本隆弘 | QUEST | 第6回全日本クイズ選手権優勝 | |
4位 | 牟禮大造 | モンキーズ | 花と蛇杯WEST優勝 | 45点 |
5位 | 石川健一郎 | 草 | 史上最強7・9回本戦出場 | 44点 |
6位 | 林廣宣 | QUEST | ぷりぷりカップ優勝 | 43点 |
7位 | 大倉太郎 | 卍 | 第5回法政オープン優勝 | |
8位 | 永田淳 | 島根大学 | 第6回全日本クイズ選手権4位 | |
9位 | 関口仁 | クイズ部 | 第2回藤井杯準優勝 | |
10位 | 池田忍 | QUEST | 第7回Ryu杯準優勝 | 42点 |
11位 | 石貫能和 | QUEST | 第6回Ryu杯4位 | |
12位 | 栗田修 | 卍 | クイズワールドカップ優勝 | 41点 |
13位 | 堀江亮次 | QUAPS | 静岡オープン準決勝 | |
14位 | 飯田暁 | 卍 | 第7回Ryu杯準決勝 | |
15位 | 舛舘康隆 | 卍 | 第13回マンオブザイヤー準優勝 | |
16位 | 横井貴史 | QUAPS | 第1回同志社オープン準優勝 | 40点 |
17位 | 遠藤誠 | 卍 | 弥生杯優勝 | |
18位 | 鈴木雅也 | イージオス | ダダイストカップ準決勝 | |
19位 | 串戸尚志 | イージオス | 第6回一橋オープン準優勝 | |
20位 | 能勢一幸 | クイズ部 | 第15回ウルトラクイズ優勝 | 39点 |
21位 | 小川雄之 | QUEST | 第1回京都オープン準優勝 | |
22位 | 佐藤泰司 | つぎの会 | 第7回FNS本戦出場 | |
23位 | 鰐部哲也 | モンキーズ | アタック25グラチャン大会代表 | |
24位 | 西村陽 | 東北学院大学 | 第3回K−1 2R | 38点 |
25位 | 藤井健一郎 | 草 | 第7回Ryu杯準決勝 | |
26位 | 仲西知憲 | 草 | 第6回全日本2R | |
27位 | 高山慎介 | イージオス | 弥生杯3位 | |
28位 | 春日誠治 | イージオス | 嶺上杯優勝 | |
29位 | 佐々木貴之 | KITANクラブ | 第4回法政オープン予選1位 | |
30位 | 井上幸治 | イージオス | 弥生杯予選2位 | 37点 |
31位 | 大村哲也 | またんごの森 | 嶺上杯準優勝 | |
32位 | 深澤岳大 | リバティ | 第2回東大オープン優勝 | |
33位 | 鈴木舟太 | 卍 | 第1回都立オープン優勝 | |
34位 | 宮澤大輔 | 駒澤大学 | 花と蛇杯EAST準優勝 | |
35位 | 佐通雅之 | QUEST | 第1回同志社オープン2回戦 | 36点 |
36位 | 藤井和彦 | OBA−Q | 第2回FNSグランドチャンピオン大会優勝 | |
37位 | 塚本丈二 | TQC | スプートニクカップ5位 | 35点 |
38位 | 木村武司 | QUEST | 第6回Ryu杯準決勝 | |
39位 | 内田拓也 | ギャグスターズ | ダダイストカップ2R | |
40位 | 月森直人 | モミジQ楽部 | 史上最強数回本戦出場 | |
41位 | 上野裕之 | クイズ部 | 第4回Ryu杯優勝 | 34点 |
42位 | 高木晃一 | クイズラバーズ | コンコルドカップ優勝 | |
43位 | 中村弥史 | 東洋大学 | 第5回明治オープン2R | |
44位 | 中橋大介 | 北海道大学 | アタック優勝24枚 | |
45位 | 西岡能範 | イージオス | 第6回一橋オープン2R | |
46位 | パンチョ | 草 | 眞露杯準決勝 | |
47位 | 松本隆一 | 横浜国立大学 | 弥生杯準決勝 | |
48位 | 下田力 | 草 | アタック25 2回出場 | 33点 |
49位 | 渡辺徹 | リバティ | でじま杯優勝 | |
50位 | 村上彰 | S市役所 | 第5回明治オープン準決勝 | |
51位 | 田中利樹 | QUAPS | アタック25優勝 | |
52位 | 横山泰良 | またんごの森 | ラスパイレス杯本戦1R | 32点 |
53位 | 神山学 | 卍 | 第1回藤井杯準優勝 | |
54位 | 村上浩一 | 一橋大学 | 弥生杯準決勝 | |
55位 | 増田秀直 | イージオス | 弥生杯4位 | |
56位 | 大森孝宏 | モンキーズ | 第3回法政オープン優勝 |
主所属サークル名は舟太的分類による。
予選通過者の主所属サークル分布
以下の所属サークルは解答用紙に書かれたものそのまま
順位 | 名前 | 所属サークル | 得点 |
---|---|---|---|
57位 | 新井浩 | 同志社大学 | 32点 |
58位 | 野瀬昌彦 | QUEST | |
59位 | 若林一也 | 城西大学 | 31点 |
60位 | 金田浩輔 | 無所属 | |
61位 | 鷹羽寛 | グランドスラム | |
62位 | 北洞貴康 | QUAPS | 30点 |
63位 | 山本剛 | 茅ヶ崎市教育委員会 | |
64位 | 松村憲昌 | イージオス | |
65位 | 大谷雅子 | 島根大学 | |
66位 | 黒巣弘路 | リバティ | |
67位 | 八十田隆行 | 早稲田 | 29点 |
68位 | 矢野淳一 | 千葉大学 | |
69位 | 湯本敏樹 | RUQS | |
70位 | 菊地晃史 | 群馬クイズ愛好会 | |
71位 | 鈴木亮 | 早稲田 | |
72位 | 上田洋一 | 平塚市立相模小学校クイズクラブ | 28点 |
73位 | 沼屋暁夫 | 都立大学 | |
74位 | 小田典生 | 一橋 | |
75位 | 宮崎裕茂 | 東大 | |
76位 | 高橋次郎 | 次の会 | |
77位 | 沢登由佳 | イージオス | |
78位 | 渋谷裕司 | 一橋 | |
79位 | 岡村悟史 | 関東学院 | |
80位 | 西山義之 | 東大 | 27点 |
81位 | 佐々木繁樹 | 東大 | |
82位 | 岩村貴成 | OBA−Q | |
83位 | 市川尚志 | 早稲田 | 26点 |
84位 | 森家盛 | 早稲田 | 25点 |
85位 | 西村友孝 | イージオス | |
86位 | 湯川善行 | モンキーズ | |
87位 | 鶴祐一 | 東大 | |
88位 | 植西正樹 | モンキーズ | |
89位 | 新井健一 | RUQS | |
90位 | 小林大介 | 一橋 | |
91位 | 井田純一 | 北海道クイズ愛好会 | 24点 |
92位 | 大門弘樹 | 同志社大学 | |
93位 | 相田聡一 | 一橋大学 | |
94位 | 豊田恭平 | 富山大学 | |
95位 | 豊嶋恭子 | QUAPS | |
96位 | 小林崇 | リバティ | |
97位 | 曽根喜則 | 帝京大学 | |
98位 | 石川貞雄 | 一橋 | 23点 |
99位 | 大川修司 | 駒澤 | |
100位 | 矢野了平 | 東洋大学 |
以上がベスト100。
第2R:2○2×((12人→6人)×4組)
A | B | C | D | |
---|---|---|---|---|
1○2× | 関口仁 | 栗田修 | 石貫能和 | 池田忍 |
横井貴史 | 堀江亮次 | 飯田暁 | 舛舘康隆 | |
2○2× | 遠藤誠 | 能勢一幸 | 串戸尚志 | 鈴木雅也 |
西村陽 | 小川雄之 | 佐藤泰司 | 鰐部哲也 | |
藤井健一郎 | 春日誠治 | 高山慎介 | 仲西知憲 | |
深澤岳大 | 佐々木貴之 | 井上幸治 | 大村哲也 | |
鈴木舟太 | 藤井和彦 | 佐通雅之 | 宮澤大輔 | |
月森直人 | 塚本丈二 | 木村武司 | 内田拓也 | |
上野裕之 | 中橋大介 | 中村ひさし | 高木晃一 | |
下田力 | 西岡能範 | 小林道生 | 松本隆一 | |
渡辺徹 | 横山泰良 | 田中利樹 | 村上彰 | |
大森孝宏 | 神山学 | 村上浩一 | 増田秀直 |
激戦となった予選を勝ち上がってきたので、誰が相手でも簡単に勝てるわけがないという気構えはあった。が、Aブロックの面々を見る限り、「自分が最弱では無かろうか?」と思わずにはいられなくなるほどの豪華メンバーである。この12人で準決勝を始めると言っても、誰も不自然に思わないだろう。
控え室から舞台に上がり、早押し席に座る。隣の深澤と月森さんと若干談笑していると、司会の沼田が第2Rの開始を告げ、幕が上がる。目の前には舞台下の暗さが広がり、今から始まるであろうさらなる激戦を見るための面々があった。
早押しの皮切りとなる1問目、第2回は「K−1」、第3回は「高円寺純情商店街」と、何らかの形で大会に絡んでいる解答で、楽しみとしている人も結構いたようだが、舞台にいる状態ではそんな余裕はなかった。設立者のジョセフ・シモンズが読まれた途端に、早押し合戦となったが、遠藤が解答権を取り「クー・クラックス・クラン」を先取。3問目で関口さんがアドバンテージの利を生かしてトップ抜け。
いまいち他の人の早押しについて行けていなかったので、いつも通りのトンコロ負けかと覚悟するが、4問目に「「音無しの剣」でデビューした/」と、絶妙のポイントで解答権を取ることができ、「横山光輝」を正解して1○。これでちょっと楽になれたと息をつこうとしたところ、直後の5問目で遠藤が勝ち抜け、早くも残る枠はあと4つ。6問目に上野さん、7問目に藤井さんが正解して、5人がリーチ。8問目、長々とした前フリでドイツの細菌学者ということだけはわかり、「スライドガラスの代わりに....」と振ってきたところで「シャーレの別名に名を残すあの人じゃなかろうか?」と見当付け、「純粋培養する....」の辺りで100%の確信を得て解答権を取り、「ペトリ」と正解して2○。リバティの面々からは「また半濁音で抜けてるよ〜」とヤジられながらも、「少女革命ウテナ」(選曲はデュエリスト北形)のバックミュージックと共に勝ち抜けを宣され、自分としては出来過ぎの3位抜けで第3Rへコマを進めることになった。
私が抜けたあともAブロックでは激戦が続き、リーチをかける人が続々出る中で深澤、月森さんが抜け、残る席はあと一つ。ここで最後の賭けに出た上野さんがまさかの玉砕。同様に下田さんも2×で失格。結局はラガーが「李承晩」を正解して最後の勝者となった。
Bブロックでは1問目に栗田が正解し、アドバンテージを持っていたので早くも勝ち抜け。その後、春日、堀江、塚本といった若いプレイヤーに正解が集中し、わずか9問で残る席はあと2つ。正解する人が集中したせいか、しばらくはファウンデーションの状態で、15、16問目で佐々木さんが連取して勝ち抜け、最後は能勢さんが滑り込んだ。
Cブロックは、1問目で高山が先制し、さらに3問目、「アレッサンドロ・モレスキ」というキーワードで得意満面に解答権を取り、「カストラート!!」と正解してトップ抜け。高山が抜けた直後に、アドバンテージを持っていた石貫さんと飯田が順に抜ける。枠があと3つになり、続々とリーチをかける者が出てきたのに焦った串戸が、「阿部定」を答えさせる問題で解答権を取ったがそれを思い出せず、思わず「ちんちん切った奴」という爆笑発言をし、昨年の「テトロドトキシン」に勝るとも劣らぬ爆笑王となった。それでもこーぢが4抜けしたあとで、串戸はどうにか5位で抜け、最後は木村さんが勝ち抜けた。
Dブロック、開始早々に仲西さんが1×を付け、さらに直後の問題が読まれた瞬間に指を滑らせボタンを押してしまい、2×となって失格するというハプニングが起こる。そのハプニングの虚を突いたか、同志社の“ゲーハー”“ギータカ”こと高木君が二連取してトップ抜け。続いて忍が得意のプロレス問題を正解して2抜け。中盤は接戦となり、大村さんが抜けると連鎖的に村上さんと雅也が抜け、2○2×には圧倒的な弱さを誇っていた舛舘さんが、大方の予想を裏切る形で3R最後の席に着いた。
A | B | C | D | |
---|---|---|---|---|
1抜け | 関口仁 | 栗田修 | 高山慎介 | 高木晃一 |
2抜け | 遠藤誠 | 春日誠治 | 石貫能和 | 池田忍 |
3抜け | 鈴木舟太 | 堀江亮次 | 飯田暁 | 大村哲也 |
4抜け | 深澤岳大 | 塚本丈二 | 井上幸治 | 村上彰 |
5抜け | 月森直人 | 佐々木貴之 | 串戸尚志 | 鈴木雅也 |
6抜け | 渡辺徹 | 能勢一幸 | 木村武司 | 舛舘康隆 |
第3R:コース別クイズ
A | B | C | D |
---|---|---|---|
安藤正信 | 山本耕造 | 橋本隆弘 | 牟禮大造 |
永田淳 | 大倉太郎 | 林廣宣 | 石川健一郎 |
3Rに進出したのは32人だが、形式決定戦に出られるのは2Rシードになった8人のみ。しかも、コースの選択権を得られるのは3人だけである。
1問目を制したのは、私が組み込まれているAブロックの永田さん。ホンの数秒の間だが、ドキドキしながら永田さんの選択を待った。永田さんは最初から決めていたのか、司会者に振られると迷わず「アタック風」を選択。その瞬間、「アタック風」のルールと作戦を頭の中で反復し始める。
2問目は橋本さんが取り、「早押しボード」を選択。3問目は課長が取って「通過クイズ」を選択。これにより、各ブロックのコースは次のように決まった。
第3R[1]:アタック風サバイバルクイズ(8人→4人)
挑戦者 予選 1位:安藤正信 予選 8位:永田淳 予選 9位:関口仁 予選17位:遠藤誠 予選32位:深澤岳大 予選33位:鈴木舟太 予選40位:月森直人 予選49位:渡辺徹アタック風サバイバルというルールでは、大抵上位陣の一角が誤答で潰れるので、ペーパー上位5人のうち誰か一人が潰れることを見越し、さらに間隙を縫うように正解が出せれば勝つ可能性はあった。
16問目「「アニタの足の裏に/」
安藤「エーゲ海に捧ぐ」
17問目「初代学長は哲学者のマルジウス/」
安藤「ハイデルベルク大学」
今までは遊んでいたかのように、突然目覚めた安藤が三連取。これで私の得点はもう6点しか残っていなかったが、逆転の機会なんてそう簡単には来ないもの。
21問目の時点で私だけ正解0だったために得点は2点と最下位。安藤、遠藤、永田さんの勝利はほぼ決まっていたので、4点の深澤に、3点の関口さん、月森さん、ラガーの3人が追う形。だが、追っていた3人が揃って1×してしまい、深澤に2点差がついた状態で、下位4人が並ぶ。最後は安藤の二連取で4人まとめて葬り去られてあっさり決着。
終わって見れば昨年のチャンピオンである安藤の圧勝。それにコンスタントに正解をしていた遠藤と永田さんが続き、他の3人が正解を独占していたせいで、わずか2問しか正解できなかった深澤が最後の席に着いた。
安藤正信 8○(11点残し) 遠藤誠 5○( 4点残し) 永田淳 4○( 3点残し) 深澤岳大 2○( 1点残し) 関口仁 1○1× 月森直人 1○1× 渡辺徹 1○1× 鈴木舟太そういうわけで、結局私はヤキトリ状態での敗退。いつものことだが、必要以上に守ってしまったことが敗因であることは間違いない。でも攻めに出たところで勝てたかというと自信は無い。
第3R[2]:ステップアップクイズ(8人→4人)
挑戦者 予選 4位:牟禮大造 予選 5位:石川健一郎 予選12位:栗田修 予選13位:堀江亮次 予選20位:能勢一幸 予選28位:春日誠治 予選29位:佐々木貴之 予選37位:塚本丈二最初の段階決めでは、春日が先制して1位の席に着く。
1.春日 2.能勢 3.石川 4.牟禮 5.栗田 6.塚本 7.堀江 8.佐々木スターティンググリッドは上記の通り。
9問目「滑降の跡が花をつないだように見えるところから/」
牟禮「ギルランデ」
10問目「海田庄太郎と北河芳平という2人の人物によって/」
牟禮「吉田石松」
と速攻の連答で佐々木さんに+7点で並ぶ。さらに12問目には栗田も+7点で並ぶ接戦となったが、栗田もまた1位席で痛恨の誤答をしてしまい後退。
中盤は堀江が総会屋となって場を荒らしたものの、塚本と能勢さんが代わる代わる1位席に着いて+7点と牟禮に並ぶ。だがここでも
22問目「副題は「交響的運動第1番」/」
牟禮「パシフィック231」
と速攻で正解し、牟禮が塚本と能勢さんに4点差を付けて1位席に舞い戻り、勝ち抜けをほぼ決定的にする。
残り問題数がわずかとなって、佐々木さんが目立たないところで得点を9点にまで上げ、高めの席次ボーナスは狙えない代わりに素点で勝ち抜けを確実にしてきた。
26問を終了して、
1.牟禮+11 2.能勢+7 3.春日+3 4.塚本+7 5.佐々木+9 6.石川−3 7.堀江−1 8.栗田+6という状態。席次ボーナスを考えれば、牟禮、能勢さん、佐々木さんの3人はほぼ確定。4つ目の席はほぼ塚本に間違いないが、栗田と春日にわずかな望みが残っている状態。
牟禮大造 3○ 8+11=19 能勢一幸 2○ 7+ 7=14 佐々木貴之 4○1× 1+ 9=10 春日誠治 1○ 6+ 3= 9 ○ 塚本丈二 2○ 2+ 7= 9 栗田修 4○2× 3+ 5= 8 堀江亮次 4○3× 4+ 1= 5 石川健一郎 2○2× 5− 1= 4 <得点は、席次ボーナス+素点=合計>私は1問1問メモを取りながらクイズの進行を見ていたので、誰がどういう状況にあったか分かりやすかったが、他の人はどういう印象を持ったのだろうか?多分、ごちゃごちゃ入れ替わって把握しきれなかったのでは無かろうか。それと、通常の正解が席次によって「5、4、3、2、1」だったのに、最後のボーナスが「8、7、6、5、4、3、2、1」というのは、ちょっとボーナスをやり過ぎだったのでは無かろうか。上位の席にいた人は、危ない橋を渡るよりもということでほとんど押さなかったので、下位陣が激しく争っていただけにしか見えなかった。
第3R[3]:早押しボードクイズ(8人→4人)
挑戦者 予選 3位:橋本隆弘 予選 6位:林廣宣 予選11位:石貫能和 予選14位:飯田暁 予選19位:串戸尚志 予選27位:高山慎介 予選30位:井上幸治 予選38位:木村武司1問目に高山、2問目に飯田が早押し単独正解するが、やはり様子を見てしまったせいか、赤紙を使わずに大量得点のチャンスを逸する。序盤戦は特に飛び出す人もなく、横一線の展開。6問目に林さんが赤紙を使って大量得点を狙うが、誤答をしてしまい勝ち抜けに黄信号がともる一方で、7問目は高山が赤紙で+5点とそこそこの高得点を挙げて、合計を9点として他を大きくリード。
18問目「ほぼ同時期にドイツのウェルスバッハも発見し「カシオピウム」と命名したものの正式な名前としては認められなかった、1907年にユルバンによって発見され、パリの/」
ここで串戸がうまい頭ハネを見せると赤紙を取り出し、確実に「ルテチウム」を正解して+5点を追加。これによって串戸が早押しボードをトップ抜け。
残り2問で、2位の林さんが12点、3位の高山が11点、4位の木村さんが10点。逆転のチャンスがあるのは5位の橋本さん8点、6位の石貫さん6点まで。その残る2問に対し、石貫さん、橋本さんは共に赤紙を使って一縷の望みを託すも共に失敗し逆転ならず。
串戸尚志 3☆5○ (+2) 16 林廣宣 3☆8○1× 14 高山慎介 2☆6○1×(+2) 11 木村武司 2☆4○ (+1) 11 橋本隆弘 1☆5○1× 5 飯田暁 1☆4○1× 4 石貫能和 1☆6○2× 3 井上幸治 3○1× 0赤紙を有効に使えた人は串戸、高山、木村さんの3人だけ。だがそれも+2点の上乗せに留まるだけで、やはり一発逆転よりも確実に早押し正解をして点を積み重ねていった人が勝ち抜けたという結果であった。
第3R[4]:K−1風通過クイズ(8人→4人)
挑戦者 予選 2位:山本耕造 予選 7位:大倉太郎 予選10位:池田忍 予選15位:舛舘康隆 予選18位:鈴木雅也 予選31位:大村哲也 予選42位:高木晃一 予選50位:村上彰課長が2、4問目を正解し、早くも通過席に立つ。これに対し、3、5問目を正解した雅也が阻止席に立ち、わずか5問で最初の対決通過クイズのカードが決まり、課長と雅也の2人にスポットが当たる。6問目、代表作がいくつか並べられたあと「野間文芸賞を受賞した「女坂」....」で課長が反応し、「円地文子」を正解し、下馬評通りの圧倒的な強さでトップ抜けを果たした。
28問目「その内部には天降石、前の千本、玉簾といった名所があり、出口付近には弥生時代の遺跡があることでも知られる、高知県の三宝山/」
大倉「龍河洞」
残った4人を阻止席に立たせる前に勝負を決め、大倉が最後の4R進出者となった。
<通過席&阻止席での出来事>
4問目:課長:通過席 5問目:雅也:阻止席 6問目:課長:勝ち抜け 7問目:忍:通過席 11問目:忍:失敗 16問目:雅也:通過席 18問目:大倉:阻止席 19問目:雅也:勝ち抜け 22問目:高木:通過席 23問目:忍:阻止席 24問目:高木:勝ち抜け 27問目:大倉:通過席 28問目:大倉:勝ち抜け 山本耕造 3○ 6問目勝ち抜け 鈴木雅也 5○1× 19問目勝ち抜け 高木晃一 3○ 24問目勝ち抜け 大倉太郎 5○ 28問目勝ち抜け 池田忍 4○2× 舛舘康隆 1○ 村上彰 1○ 大村哲也 1×
第4R:ボードクイズ
挑戦者 予選 1位:A:安藤正信 予選 2位:D:山本耕造 予選 4位:B:牟禮大造 予選 6位:C:林廣宣 予選 7位:D:大倉太郎 予選 8位:A:永田淳 予選17位:A:遠藤誠 予選18位:D:鈴木雅也 予選19位:C:串戸尚志 予選20位:B:能勢一幸 予選27位:C:高山慎介 予選28位:B:春日誠治 予選29位:B:佐々木貴之 予選32位:A:深澤岳大 予選38位:C:木村武司 予選42位:D:高木晃一1問目は牟禮、2問目は雅也が単独正解で、いきなり15点の高得点を獲得。その後、前半は正誤半分前後の所で落ち着く問題が多く、得点は徐々にばらけてきた。前半10問を終了した時点で、牟禮が49点、大倉が44点と、安藤の弟子コンビがワンツーで揃っているが、肝心の安藤はわずか15点と低迷し苦しい状況。3位は佐々木さんで42点、4位は串戸で40点と、この辺までは安全圏か。課長は33点で5位と、普通のプレイヤーならば上出来の順位のはずだが、課長にしては苦戦気味の順位。
串戸尚志 9○:83点 勝 牟禮大造 9○:81点 勝 鈴木雅也 7○:59点 勝 安藤正信 6○:51点 勝 大倉太郎 7○:49点 勝 林廣宣 6○:48点 勝 佐々木貴之 7○:47点 勝 山本耕造 6○:38点 勝 高木晃一 6○:37点 深澤岳大 3○:31点 能勢一幸 5○:29点 遠藤誠 4○:27点 永田淳 4○:24点 春日誠治 4○:23点 高山慎介 4○:22点 木村武司 2○:10点それにしても、3○の深澤が上で、5○の能勢さんが下の順位とは。実際、今回のボードは1問で獲得できた点数が異常に高かったから、正解数逆転現象は別に珍しくもなかった。
優 勝 | −−−−−−−−−−−−−−−−− | | −−−−−−−−− −−−−−−−−− | | | | −−−−− −−−−− −−−−− −−−−− | | | | | | | | 1 8 5 4 3 6 7 2 串 課 大 安 雅 林 佐 牟 戸 長 倉 藤 也 々 禮 木
昨年のベスト8で残っているのは、チャンピオンの安藤と、秋田さんにタッグ・オブ・ウォーで敗れた牟禮の2人のみ。一方、K−1初参加でここまで残ったのは課長のみ。
地方別では、関東と関西が3人ずつ、名古屋と東北が1人ずつ。佐々木さんが進出したことにより、東北のプレイヤーが初めてベスト8に残ったことになった。
学生・社会人(社会に出ていない人も含む)の構成はちょうど半々で、準々決勝の4試合全てが学生対社会人である。
準々決勝:連答クイズ
第1試合:串戸尚志 対 山本耕造
ダダイストカップの7○3×で戦った両者のリターンマッチ。4R上位ではあったが、ダダイストで負けた串戸は「今度こそは....」という気迫がみなぎっていた。この息巻く串戸に対し、課長はいつも通りのマイペースであった。
1問目、問題が全文読まれ、「ガルブレイスの著書」を答えさせる、ここまで残った人なら確実に知っているはずの問題で串戸が解答権を取る。先手は串戸が取ると思いきや、どうやら答えが思い出せないようで、悩んだ末に「豊かな社会」と別の著書を答えて誤答。解答権を振られた課長は難なく「不確実性の時代」を正解して先取。2問目、「ハレー彗星が初めて/」とポイント部で押し合いとなったが課長が一歩早く解答権を取って「ジオット」を正解して二連取。さらに3問目、代表作「バイナル・カスライン」が読まれても串戸は答えを思い出すことが出来ず、易々と課長に解答権を取らせてしまい、あっさり「ナギブ・マフフーズ」を正解されて決着。
この第1試合を見て、4Rのボードがあんなに難しかったのに、準々決勝に入って難易度が3Rに戻ったかのような印象を受けた。それだけに誤答は即相手の得点になる可能性が高く、後手に回る側は迂闊な押しは出来なくなり、先制した側が圧倒的有利に立てるので、ワンサイドゲームで終わってしまう危険性が強かった。
第2試合:安藤正信 対 大倉太郎
オープニングの挑戦者紹介ではネタを仕込んで、第13回ウルトラクイズを真似て
安藤「最高の相手です。成田空港で考えたときの最高の相手です。そのために、僕は、勝ち残ってきました。」
この安藤のトークに早くも場内大爆笑。そして当然大倉も
大倉「最低の相手です。」
と切り返して場内の笑いを取る。が、司会はネタに気付かなかったようで、とっとと次に進行してしまい大倉の続きを聞かずに準々決勝第2試合を始め、ネタをぶち壊す。
お笑いはここまでにして、K−1準々決勝という舞台で師弟対決が実現した。1問目「根津美術館」は地元の利があったか、大倉が先制。2問目は安藤が焦ったか誤答。問題文が全文読まれ、確定ポイントの「火星の運河」が読まれたことで、大倉は当然の如く「スキヤパレリ」を正解して二連取。3問目、やはりリードしている側が強気に出られるため、「高杉晋作が死んだ時に/」と、ポイントを早めて大倉が解答権を取り、「野村望東尼」を正解して三連取。第1試合同様に、この試合もあっけなく決着した。
第3試合:鈴木雅也 対 林廣宣
ダダイストカップの早押しボードクイズで対戦し、その時は雅也が勝ち、林さんは敗れた。この戦いについて司会が触れると、雅也は「記憶にございません。」と、林さんと戦ったことを忘れてしまっていたようであった。やはり雅也はブルジョワだけに、下々のことをいちいち覚えないのだろうか。
1問目、「初代監督は山本栄一郎/」で林さんが「ロマンス・ブルーバード」を先取。これまでの流れからして先制した側が有利ではあったが、2問目は雅也が返し、
3問目「「ハイドロスフィモグラフ」という水を利用した嘘発見器を/」
雅也「ロンブローゾ」
と、これぞ雅也という押しで二連取しリーチをかける。勝ち抜けを賭けた4問目、雅也が解答権を取り決まったかと思いきや、答えを思い出せず誤答。問題を全文読まれて振られた林さんはこれを正解し、逆転の糸口を掴む。だが流れは林さんには傾かず、再び雅也が二連取し、今度はしっかりと「ネーピア」を正解して三連取を決め、林さんを再び叩き潰した。
第4試合:牟禮大造 対 佐々木貴之
開始前の紹介時から佐々木さんは浮き足立っているように見えた。第4回法政オープンペーパー1位が主な戦歴、自らマイナープレイヤーと言うだけに、確かな実力を持ってはいるが、こうした大舞台に慣れていないらしく、緊張感がありあり見えた。
1問目の「フログネル公園」、2問目の「アベラール」は牟禮が余裕を持って楽々と連取。3問目、佐々木さんが巧いポイントで解答権を取るが、「サンガー」と気持ちは分かる惜しい誤答。押し負けていた牟禮は問題文が全文読まれる間、勝ちを確信して半笑い状態で待っており、問題が読み終わって司会者から振られると「アプガー」とボソッと一言発して三連取とし、佐々木さんを退けた。
優 勝 | −−−−−−−−− | | −−−−− −−−−− | | | | 課 大 雅 牟 長 倉 也 禮
4試合中3試合までが3問で決着と、何だか本当のK−1のようなあっと言う間のKOラッシュであった。
準決勝:タッグ・オブ・ウォー
第1試合:山本耕造 対 大倉太郎
準決勝は奇しくも関東対関西のトッププレイヤー同士の対決となった。試合前の評では、決勝は課長対牟禮の関西頂上対決が有力そうであった。そうなるとこの勝負は、大倉が課長にどれくらい着いていけるか、というのが大方の見方であっただろう。
1問目、第7回Ryu杯決勝で出題された「ローレンス・ヴァン・デル・ポスト」を前フリにした「戦場のメリークリスマス」は課長が先取。先程の串戸を倒した時同様に、大倉にクイズをさせないまま倒すのではという印象を受けた。さらに課長は2問目も解答権を取り、これで早くも2点差かと思わせたが誤答。これで勝負は振り出しに戻る。
ピンチのあとにはチャンスがあるのか、3問目は大倉が「ミュルダール」を正解して1点差を奪う。さらに
4問目「副題は「諷刺第二」/」
大倉「ラモーの甥」
と、課長に対し逆に2点差を付ける。その後スルーを2問挟むうちに大倉が3点差を付け、勝負は下馬評とは全く逆の形になってきた。8問目の「フェヒナー」も確実に問題を読ませてから正解する大倉らしさを見せ、とうとうリーチをかける。
9問目「作者自身が幼い時に聞いた話を素材とした、旅回りの芝居の座長が嫉妬のあまり芝居と現実を混同し、一座の花形である妻を刺し殺してしまうという内容の、イタリアの作曲家ルッジェーロ・レオンカヴァルロ/」
大倉が確実に解答権を取り、期待と不安が入り交じる中、答える。
大倉「道化師!!」
その瞬間、正解音がコールされ、課長に5点差を付けたことにより、大倉の決勝進出が決まった。普段クールな大倉が、滅多に見せないオーバーアクションのガッツポーズを取り、喜びを全身で表現していたのは印象的であった。
消費問題はわずか9問。下馬評を大きく覆し、終わって見ればワンサイドゲームでの大倉の勝利だった。
第2試合:鈴木雅也 対 牟禮大造
昨年、牟禮はこの企画を準々決勝で戦った。その時は、対戦相手の秋田さんに勝負の駆け引きの弱さを突かれる形で、結局誤答のトラブルで自滅。弥が上にもその光景はダブる。対戦相手はダダイストカップの早押しボードで逆転負けを食らった相手である雅也。雅也からすれば2戦連続でダダイストで倒した相手との勝負である。両者とも格段の成長を遂げた今、再び対戦することになった。
1問目「刑が執行される前日に詠んだ「明日の死を 前にひたすら/」
牟禮「小原保」
先制攻撃は牟禮。2問目はスルー。3問目は雅也の誤答で牟禮が早くも2点リード。その後は牟禮が「ラジャ・スコブリコーワ」を正解すれば、雅也も「特性のない男」を正解し、激しい正解合戦が続いて“牟禮2点差”付近を行ったり来たりしていた。
8問目「教祖はベルギー人のルック・ジュレ/」
牟禮「太陽寺院」
牟禮がこれで雅也に対し、3回目の3点差を付けた。こうした勝負はリードしている方が心持ち余裕が出来るのが常で、リードされている方は焦りは禁物である。だが頭の中で分かっていたところで、実際戦っているといちいち考える余裕はない。牟禮は一度この勝負を戦っていることから、そのことは分かっているだけに、危ない橋は渡らないはず。雅也にとっては点差以上に精神的不利さがある。そして牟禮は9問目「イリイン」で余裕を保ったまま4点差を付けてリーチをかける。雅也には後がない。
10問目。勝負は雅也の自滅という形で、あっけないほど簡単に決着した。
結局、牟禮の5○に対し、雅也は2○2×。牟禮はこの形式で一度は敗者となり、今度は勝者となった。そして秋田さんへのリベンジはかなわなかったが、雅也へのリベンジを果たし、決勝へコマを進めた。
決勝:10ポイント先取早押しクイズ
大倉太郎 対 牟禮大造決勝戦は昨年度の優勝者・安藤正信の一番弟子同士の対決となった。準々決勝では師匠であり名古屋最強と謳われた安藤、準決勝では関西最強と謳われた課長を倒して決勝進出した大倉。全てのラウンドで危なげのない横綱相撲で勝ち上がってきた牟禮。全くタイプの異なる二人が、自分達が全てを賭けてきた最後の舞台で対戦する。
1問目「脚本を書いたのは作家のアラン・ロブ・グリエ。あるホテルの中でデルフィーヌ・セイリグ演じる人妻が、ジョルジュ・アルベルタッツィ演じる見知らぬ男から「私達は去年会っている」/」
大倉「去年マリエンバードで」
先制攻撃は大倉。勝負は接戦が予想されていたが、その予想を裏切る形で「湯浅年子」「フォン・ヘイデンスタム」と大倉が3連取を決めて一気に牟禮を突き放す。そして13問目を終了した時点でスコアは5対1と、大倉のワンサイド。「去年高円寺で」ではないが、安藤が秋田さんをワンサイドで下した光景とあまりに似すぎている。
だが、ここから去年と違ってくる。14問目の「タイス」の正解で序盤から沈黙気味の牟禮が自分を取り戻したか、「宇都宮三郎」「ソフィア・コワレフスカヤ」と、大倉にお返しの3連取を決め1点差に詰める。17問目、大倉が牟禮の勢いに押されてか誤答をしてしまい、4対4の同点となる。
18問目「肩を痛め1950年からは打者に転向し、1958年には打率.320で首位打者を獲得している、投手としては1950年3月16日の対国鉄戦で9回2死までパーフェクトに抑えながら中村栄にテキサスヒットを打たれ、史上初の完全試合を逃したことで知られる阪神タイガースの選手は誰?/」
大倉「田宮謙次郎」
19問目「ロザリオという女性を愛している近衛士官フェルナンドが/」
牟禮「ゴイエスカス」
20問目「東京共立病院歯科部長在職中の昭和8年、患者に勧められて句作を始めた俳人で/」
大倉「西東三鬼」
21問目「その妹・きみ子は女流作家・三宅花圃の母だったという人物で、戊辰戦争では榎本武揚らと共に五稜郭で官軍と戦って敗れたものの、その後札幌農学校の創設、日本標準時の制定/」
牟禮「荒井郁之助」
正に一進一退の攻防。スコアは6対6。まるでお互いが実力を高め合っているような、最高の勝負が繰り広げられていた。そして22、23問目「赤と黒」「西光万吉」を大倉が二連取して、この終盤に来て牟禮に大きな2点差。だが牟禮は焦らず、すぐさま24、25問目「村野四郎」「リヒテンベルク」と二連取を返し、再び8対8の同点。大倉がリードすれば牟禮が追い付くの繰り返し。
ヒートアップした勝負が2問のスルーで一段落着く。いよいよ第4回K−1グランプリも最終局面を迎えた。
28問目「パレ・ロワイヤルの劇場は死後メリエスに買い取られ、1896年にはメリエスの最初の映画が公開されたという、本名をジャン・ウージェーヌ・ロベール/」
牟禮「ロベール・ウーダン」
先にリーチをかけたのは、決勝で初めて大倉に対しリードをしたことになった牟禮。逆に大倉は初めて牟禮にリードを許し、最後の最後で追う側の立場となった。29問目、是が非でも取りたかった大倉は若干ポイントを早めて取りに行ったが誤答。スコアは9対7となり、牟禮のリーチは変わらない。
30問目「当時の人気カーレーサー、ルイジ・ムッソとはかつて恋仲だったというエピソードもある、1958年のベルギーGPでデビューし、その年に3つのレースを走っただけで引退した、F1史上初の女性レーサーであるイタリア人ドライバー/」
解答権を取ったのは牟禮。「これで終わるのか?」という含みはあるように見えたが、表情を変えないまま、興奮気味に叫んだ。
牟禮「フィリップス!!」
わずかな時間、会場が沈黙。次の瞬間、司会の沼田が「決まったぁ〜!!!」と大絶叫、正解を知らせる音が鳴り、会場中から拍手が沸き上がり、第4回K−1グランプリの優勝者が、牟禮大造に決まったことを告げた。
なぜだか知らんが、K−1体験記だけには前回、前々回とおまけが付いているので、今回もまた、優勝者・牟禮大造に密着して作ってみた。